2010-01-01から1年間の記事一覧

ヨーロッパ都市の戦災復興は?

これが最近気になる問題のひとつ。あちらの「かたい都市」にも何らかの「やわらかさ」がなければならない、それが道理というものであろう。もちろんそれは焼け野原に生え出たバラックが段階的に発育して、曵家で動いて・・・、とか、駅前にテキ屋たちのマー…

未来派の料理ってどんなんだ?

僕は授業の準備のためによくネット検索をする。情報の判断と使い方はそれなりにきちんとしないといけないけど。たとえば近代建築史、西洋建築史で、その辺の教科書や図集に掲載されようはずもない詳細な情報が知りたい時は、Wikipediaでも英語版を繰ってみる…

横浜でアール・デコ見てきた。

日本郵船歴史博物館の「船をとりまくアール・デコ」を先に見て、それから山下公園の前に停泊?している氷川丸(1930年建造)に乗船してきた。まあ定番中の定番だとは思うのだが僕としては初めて。Marc Simon (1883-1964) 設計のアール・デコの内装デザインは…

5月17日(月)・すまいろんシンポジウム「やわらかい都市/かたい都市」

下記のとおり住宅総合研究財団機関誌『すまいろん』2010年夏号特集「動く住まい」の巻頭シンポジウムが行われた。 すまいろんシンポジウム「やわらかい都市/かたい都市」 2010年5月17日(月)14:00〜17:00 於:建築会館301会議室 講演1 伊藤毅「歴史のなか…

この週末は。

5月15日(土)は午後から東大本郷キャンパスにてヤミ市の研究会(座長は社会学の橋本健二先生)。次々に資料(日記やDVD等)、フィールド、そして視点が披露される。ますます盛り上がりそうである。夜の現地調査は赤羽ということだったが残念ながら私は失礼…

建築設計2イブニングトーク+設計の授業をお願いしている先生方と飲んだ。

5月10日(月)はムサビ(非常勤)の授業を終えていったん帰宅した後、彰国社へ移動して某書籍の打合せ。22時くらいまで。ヘトヘト。 5月11日(火)は本務校で担当している建築設計2(2年生)、住宅設計の課題の中間発表会。みんな頑張っている。この授業では…

5月9日(日)研究室メンバーと神田・秋葉原・上野を歩く。

神田〜秋葉原間の鉄道がらみはなかなか面白かった。いろいろネタあり。万世橋近くのヘタ地に立つ木造建物はすごかった。敷地の尖った先から自販機やコインロッカーを並べ、一番深い部分でコインパーク1台分を確保してしまった最小限複合ビルであった。すで…

2010年5月17日(月)すまいろんシンポジウム「やわらかい都市/かたい都市」(告知。でもすでに申込〆切・・)

住総研『すまいろん』の2010年夏号では、特集「動く住まい:流動的都市の原風景と未来」の責任編集を担当しています。この特集の目玉となるシンポジウムを5月17日(月)に下記のように行うので当方のブログでも連休明けくらいには告知をと思っていましたら、…

モノ・身体・日本(?)

下記3冊を読んだ。 中村拓志『微視的設計論』(INAX出版、2010) 藤本壮介『原初的な未来の建築』(INAX出版、2004) 中山英之『中山英之/スケッチング』(神戸芸術工科大学レクチャーシリーズII-3、新宿書房、2010) 3冊とも真摯に身体とモノとの新しい関…

「地割」について

加藤雅信『「所有権」の誕生』(三省堂、2001)を読んだ。遊牧民とか、日本の木地師(木地屋)とか、所有権発生以前、あるいは所有権を超える人々にもふれながら、その成立根拠を人類学的に考えたもの。読んでてちょっと発見だったのは、「地割」という言葉…

頑張っているわが弟

高校生くらいまでは自信のあった集中力(我ながら凄かった)を今日は久しぶりに発揮して原稿を2本書いた。頑張ったので自分を褒める。頑張っているといえば偶然こんなサイトを発見してしまい、んーと思ったが、これだけ一貫してひとつのことに打ち込める人…

2010年4月28日・第2回都市発生学研究会・初田香成氏「闇市=都市論序説:都市建築史から見た東京の闇市」

建築史・都市史分野における近年の闇市研究の開拓者、初田香成さんに御発表いただいて討議。法政大、滋賀県大、東大、あと明治では都市計画研究室の人たち、そして第1回発表者の田中傑さんといった方々が集まってくださり盛況でした。闇市文学を専攻されて…

内田祥哉先生講演会にて、建築のリダンダンシーについて。

先週4月23日(金)、駿河台の明大アカデミーコモンで内田祥哉先生の講演会が開かれた。演題は「サステイナブル建築と寿命」だったが、核心的な主題は建築のフレキシビリティであり、むしろそれを支える構法上のリダンダンシーだった。それがとても面白かった…

建築史学54号とどく。

建築史学会の『建築史学』第54号(2010年春)が届きました。下記2本書いてます。 新刊紹介:内田祥士著『東照宮の近代』(ぺりかん社、2009) 学会短信:東アジア建築文化国際会議(台南2009)参加レポート 『東照宮の近代』はすでに多くの読者を得ていると…

新建築住宅特集とどく。

2010年5月号が届きました。今回は「エッセイ:住宅を読む」(前号感想+時評)、次号は「コラム:近作を訪ねて」(近作訪問)。この繰り返しで1年間担当します。建築雑誌2010年3月号特集「ナイーブ・アーキテクチャー」でも取り上げられていたように、この…

高橋康夫先生退職記念シンポジウム「都市史学が開いた地平:都市と歴史と自然をめぐって」

昨日になってしまったが、都市史研究(とりわけ日本中世都市史研究)の先駆者・高橋康夫先生の退職記念シンポジウム・祝賀会に行って、さっき帰ってきた。たいへん刺激的なシンポジウムだった。 京都大学大学院工学研究科建築学専攻・高橋康夫先生退職記念シ…

神戸芸工大時代を思い出す・・・『初めての建築設計:ステップ・バイ・ステップ』

川北健雄・花田佳明ほか編著『初めての建築設計:ステップ・バイ・ステップ』(建築文化シナジー、彰国社、2010)をお送りいただいた。 強度の健忘症だから怪しいが、たぶん神戸芸工大に助手として赴任した年だと思うので1995年かな、2年生の最初の建築設計…

今日からムサビ。

本年度から非常勤講師として武蔵野美術大学に通うことになりまして、本日その初日でした。所属は造形文化研究室・美学美術史(たぶん“講座”に相当でしょうか)。柏木博さん、松葉一清さんといった方々がいらっしゃるところです。そしてムサビといえば長谷川…

ベイトソンの分肢則:サイバネティクスとトポロジー

よく読まれている『精神と自然』(1979)に比べて、著作集『精神の生態学』(1972/新思索社1986/改訂版2000)所収の文章は学術的なものから論争的なものまで、ベイトソン流のドライな思考は徹底されているものの決して平易とはいえず、数年前にかなり難儀…

本郷キャンパスもやっぱりいいねえ(しみじみ)

昨日は私が幹事役となる建築設計の授業について兼任講師の先生方にお集まりいただいて打合せをした。今年もはじまるなあ(今年は設計の授業をなぜか3つも担当する、楽しみだが恐い)。毎年桜が咲いてキャンパスに垢抜けない新入生があふれかえってそわそわ…

中村正義の美術館と美術批評誌『LR』

土曜は東大都市工の若い研究者の方がお二人研究室を訪ねて来て、かなり話し込んだ後、さらに生田駅前でビールやらワインやら飲みながらうちの院生たちと盛り上がった。議論の中心はむろん都市と都市計画の現在。 今日(日曜)は午前中に〆切守れなかった原稿…

「動く住まい」の世界にふれる

新年度初日の昨日は昼過ぎに市ケ谷へ。御堀端の桜もほぼ満開。某書籍関係の打合せを終えた後、5時より研究室の院生I君と取材。お話をうかがったのは株式会社恩田組の会長・恩田忠彌氏。同社は創業明治24(1891)年、曵家(ひきや)を中心に高い技術力で幅広…

国際デザインスタジオの準備のため台南に来ています。

*写真は成功大学キャンパス。すばらしー。3月29日。明治大学大学院建築学専攻の設計スタジオ3(海外スタジオ)の準備会議・対象地調査のため、教員6名で台南に来ています。今日は朝4:30起床。9:40成田発の便にて台北(桃園空港)。高鉄(台湾新幹線)にて…

卒業おめでとう。

lab

3月26日卒業式。いろいろあったけど卒業おめでとう。社会に出る人、その準備をする人は、色々なことが激しく変わる時代ですから、どうか振り回されすぎることなく、時々遠くを見て、タフにやってください。大学院に残る人は、研究室をますます盛り上げていき…

新しい神社?

『新しい神社・寺院 New Shrine and Temple』(建築写真文庫71、彰国社、1958)より 讃岐金刀比羅宮鳥羽分社 Kompira-Sanuki, Toba Branch Shrine (三重県鳥羽市、1956年竣工)。設計者は坂本鹿名夫(1911-87)。知る人ぞ知る“円形校舎”シリーズの設計者。…

“神社”の自明化をめぐる錯綜する史的過程へ

今回は1時から8時までぶっ通しの研究会(僕は1時間近く遅刻してしまい・・・ごめんなさい)。明治神宮がつながっていた文脈はきわめて広く深く近代日本の史的構造に結びついている。また、明治神宮をめぐる多方面にわたるプロジェクトは、分厚い過去を継承し…

2010年3月18日・田中淡教授退職記念講演会「中国建築を読む:重畳する空間と技術の伝統」於:京都大学人文科学研究所

昨日は日帰りで久しぶりに京都大学へ。田中淡先生の最終講義を拝聴した。中国建築が東アジア世界の中心として太い幹をなすように発展したきたことは言うまでもないが、講義では、古代の規範を考証し再現する努力を反復してきたのが中国建築の歴史であるとい…

2010年3月16日・藤森照信先生退職記念講演会「日本近代建築研究の足取り」於:東京大学生産技術研究所

1974年1月5日/明治神宮/東熊/台帳/桜井小太郎・曽根中條事務所/建築新潮/ドクロマーク/鋳物(鋳鉄橋)/ヤクザ五人/クローバー型/カブトガニは不味い/しらみつぶし調査/今は十分の一/三島通庸/コンドル(の娘)の生写真/深川ナポレオン/河鍋…

建築史交流会に参加させていただく。

本日(0313)第14回建築史交流会が法政大学市ケ谷キャンパスにて開かれ、高村雅彦先生にお誘いいただいて初めて参加しました。参加各研究室から推薦された20名が発表し(卒業論文・修士論文)、投票により6名が表彰されました。参加者(教員・学生)は100名…

ナイーブ・ヒストリーなんてことを考える。

建築雑誌2010年3月号「特集ナイーブ・アーキテクチャー」を読む。正直きわどいテーマだが、1943年生まれの真壁智治さんが今日の状況をその可能性において真摯に見極めようとする姿勢が、本号にある種の立体的な成立理由を与えている。加えて、巻頭の対談によ…