2010-01-01から1年間の記事一覧

ホーチミン・シティの華人たち

12月24〜28日の短い滞在だったが、ホーチミン市で華人たちの住まいをぶっつけでかなり見せてもらった。出会った華人たちのなかから3人ほど紹介してみる。Mさん。本籍は中国広東省鶴山。1940年代前半、国共内線の激化にともない曾祖父が祖父たちに避難を指…

ホーチミン市・華人街チョロンの里弄型住宅地

ホーチミン市は、古くは漁村集落を起源とするが、クメール人が進出してカンボジアが優越した時代もあったものの17世紀初期からベトナム人移住が進行し、1698年には阮朝がベトナム人の統治機構を樹立。1790年にボーヴァン式城塞を築き「嘉定城」と称した(フ…

ベトナム ホーチミンに到着しました。

一昨日だか『新建築住宅特集』新年号が届きました。ご存知の方もいると思いますが、5月号から毎月登場してます(コラム=近作訪問とエッセイ=前号感想)。今回は前号の感想を書く番で、コーリン・ロウの「性格と構成 character and composition」(『マニエ…

怒る人/見せしめの人々/逃げる人/戦く人々/諦める人たち/亡霊たち

松山巖『まぼろしのインテリア』(作品社、1985)を読んだ。1981〜85年に書かれた文章をほとんど書き直して一冊にしたもので、よく知られた処女作『乱歩と東京』(パルコ出版、1984)につづく二冊目。不覚にして僕は初めて読んだのだが『乱歩と東京』よりず…

安部良さんが AR Awards for Emerging Architecture 2010 受賞

建築家の安部良さんが瀬戸内国際芸術祭の作品、豊島の「島キッチン」でARの登竜門的アワードであるAwards for Emerging Architecture 2010を受賞されました。安部さんには僕が担当している学部2年生の建築設計2という授業で今年度から講師を担当していただい…

『建築雑誌』2010年12月号・特集「平城遷都1300年考」とどく。

市川智子さんイラストの東大寺転害門が揺らいでいる。そしてページを繰ると何と10ページにわたる「平城京九相図」が・・・。市街地の変容に散りばめられた民俗誌的ノート、そして手前に描かれる東大寺大仏殿・南大門・転害門そして法華堂(三月堂)・二月堂…

親父たちの家が建ったとき、建築家はいなかった。

うちの奥さんは今日(11/27)実施の5大市長選挙のため昨日から明日まで台北帰省中。そろそろ開票結果も出る頃だと思うが・・・どうやら期待したほど票はのびなかったようだ。得票総数でいえば伸びているのだが、ポストの数でみるかぎりは現状を守られた格好(…

2002〜2003連載「建築雑誌アーカイブス」全24回記事リスト

そのむかし、2002年1月〜2003年12月の2年間、『建築雑誌』の連載2ページを持たせていただいたことがあります。広告ページの後、一番最後の最後にページをもらったので、2年間まったく気づかなかった方もいらっしゃるかもしれませんが僕としてはかなり時間と…

娘の七五三。大国魂神社の白州にて。

娘の七五三ってことで武蔵国の「国魂神」を祭る東京府中の古社・大国魂神社へ出かけてきた。拝殿と本殿の間には中門も幣殿や祝詞殿もなく、ただお白州と呼ばれる祭庭だけがある。申込書を書き祈祷料を払った人々がこの祭庭にまとめて案内され、お祓い・祝詞…

砂本文彦氏の「学界展望・日本近代都市史」/都市史・都市論の基本問題について

もう1ヶ月以上前になると思うが、建築史学会のジャーナル『建築史学』が送られてきて、すぐさま砂本文彦氏の「学界展望 日本近代都市史」(『建築史学』55号、2010年9月)を拝読した。かなり思い切った研究状況の整理がなされており、緊張感をもって興味深…

8th ISAIA Kitakyushu(第8回 アジア建築交流国際会議・北九州)成功のうちに閉幕。

2010年11月8日から12日にかけて北九州国際会議場(磯崎新設計)にて開催された「8th International Symposium on Architectural Interchange in Asia」が終了しました。世界各国からの参加者の皆さんには無事に帰宅されますよう。そして実行委員会、とりわけ…

雑誌『すまいろん』(住総研)秋号届く/夏号特集「動くすまい」の感想・元倉眞琴氏・安藤正雄氏

今号もまず表紙見返しの「日本の集落の30年」がすごい。今回は兵庫県豊岡市城崎町「楽々浦(ささうら)」の舟屋とその今日の姿。30年前と今日の二枚の写真のあいだをつなぐプロセス、つまり「時のかたち」を想像する力というのかな、そういうものこそ建築と…

EAAC 2011 Singapore →アブストラクト提出期限が11月15日まで延長されました。

東アジア建築文化国際会議2011年4月@シンガポール →公式web siteはこちら すでに多数の応募があるようですが、延期の要望が強いのを受けて期限を15日とした旨の知らせがありました。10月末に間に合わなかった方、迷ってやめてしまった方など、朗報です。是…

先日(10月23日)の明治神宮シンポの記事が神社新報誌に掲載されました。

青井・畔上・藤田の各発題と山口輝臣氏のコメントが丁寧に紹介されています。神社新報 平成22年11月1日付。記事(jpg画像)はこちらにupさせていただきました。

「早い歴史化」を迫ったものは何か

本多昭一『近代日本建築運動史』(ドメス出版、2003)を読む。重要な資料が豊富に紹介されておりたいへん勉強になった。ただ、著者は大学闘争後「新建」の運動当事者で、随所で丁寧な批判的検証がなされた好著であることは間違いないのだが、本書全体として…

さるお方から拝借して『風声』『燎』を読む:1976年・何が終わったのか。

風声同人は当初7名。前川國男・白井晟一・大江宏・岩本博行・武者英二・神代雄一郎・宮内嘉久。雑誌『風声(ふうせい)』(1976〜86、全20号)を出した。白井、つづいて前川が亡くなった翌年から大谷幸夫・永田祐三が加わり、誌名を『燎(かがりび)』(87…

神と人:明治神宮をめぐる時空間

昨日10月23日(土)、明治神宮社務所講堂にてシンポジウム「明治神宮造営をめぐる人々―近代神社における環境形成の転換点―」が開かれた。私と畔上直樹さん、藤田大誠さんの3名が発題者だったのだが、とにかくコメンテーターの山口輝臣氏がかっこよすぎた。『…

EAAC 2011 Singapore →お急ぎください。アブストラクト提出が間もなく閉め切りとなります。

東アジア建築文化国際会議。次回は2011年5月にシンガポールで開催されます。全体テーマは「South of East Asia」(→公式web siteはこちら)いいですね。もともと中国・韓国・日本の建築史研究者の交流国際シンポといった位置づけではじまった国際会議ですが…

イスタンブールより「山田寅次郎・伊東忠太・大谷光瑞」展オープンの知らせ届く。

トルコでは今年2010年が「日本年 Japan Year」というわけで日本がらみのイベントが目白押しらしいのだが、昨夜、山田寅次郎・大谷光瑞・伊東忠太をとりあげた展覧会のオープニング・セレモニーが関係各方面やマスコミも来場して盛大に行われたとの知らせがあ…

牧紀男氏「移動する人々」:City Learns

昨日(1014 Thu.)、私どもの都市発生学研究会としては第3回目となる公開研究会を開いた。講演は牧紀男氏(京都大学防災研究所)。アチェから帰ったばかりで来週はオーストラリアだって。すごいなあ。 第一に何よりありがたかったのは、牧さんが「新作落語」…

研究室説明会(明大建築学科3年生の皆さんへの告知)

lab

10月21日(木)18:00〜 A1102研究室にて。ゼミ・ブログで説明会の告知をしていますので参照ください。aoilab:明治大学 建築史・建築論研究室(青井研究室)blog 当日は院生(M1)の担当者が研究室の多彩な活動を楽しく紹介してくれるはず。

10月4日(月)〜9日(土)・2010古建築実習終わる。

僕も今年で3年目。今年は40名の履修者があり賑やかだった。毎年少しずつコースは違っていて、今年は安楽寺(長野県上田市)、瑞龍寺(富山県高岡市)など僕にとっては初めての場所もいくつかあったし、2度3度と訪れている場所もまずは全体から細部まで目…

列壁都市論のお披露目。

2010年10月3日(日)、建築学会都市計画委員会の「地域文脈形成・計画史小委員会」の連続研究会が開かれた。この日の主題は「計画と形成」。十数人の小さな研究会だが、中島直人氏、安田孝氏、田中傑氏といった錚々たる方々が現在進行形で考えていることを話…

(告知)10月23日(土)・シンポジウム「明治神宮造営をめぐる人々―近代神社における環境形成の転換点―」

明治神宮は今年で鎮座90周年。これを記念して学術会議を開くことになりました。1年前にはじめた明治神宮史研究会の中間報告となるシンポジウムです。 先週9月25日に第6回研究会があったのですが、これまで同様の濃密かつ刺激的な討議になりました。僕などは…

(告知)10月14日・第3回都市発生学研究会は牧紀男氏。

※ ポスター貼ります。それと会場情報を追記しましたのでご確認のうえご来場ください(参加自由・無料) 都市発生学は、都市を発生学的に捉え直す運動です。生物学における「発生」とは、個体が誕生してから辿る構造変化の全過程を指します。都市を発生学的に…

九州から帰りました。

研究室の学生たちと5日間かけて九州北部(長崎・佐賀・福岡・大分)を廻る。以前に見たことのあるものが1/4くらいあるがそれも10〜20年前だから建物も環境も僕の見方も変わっており新鮮だった。前半は表現主義的傾向の強い村野・白井・今井の建物を集中的に…

富山に行ってきた・2010建築学会大会(北陸)

9月11日の研究懇談会「近・現代建築のアーカイヴスとドキュメンテーション」。アーカイビングをめぐる諸問題についてとても勉強になりました。スピーカーの皆さんありがとうございました。 あらためて確認したのは「近代建築」分野のアーカイビングはあくま…

『京城トロイカ』、植民地下朝鮮半島の街と住まいも。

安載成著(吉澤文寿・迫田英文訳)『京城トロイカ』(同時代社、2006)を読んだ。日本植民地支配の後期から解放後にいたる間に活躍した社会主義運動家たちを描いた小説である。 「さあ、この死に際に立った老いぼれから何を知りたいのですか」 植民地下京城…

篠原一男『住宅論』より抜き書き

先日(8月29日(日))、雑誌の取材で逗子のある住宅を訪れ、設計者の久野紀光さん・会田友朗さんと楽しい議論をさせていただいて大いに刺激をいただいたのだが、その折に、お二人に篠原一男『住宅論』(SD選書、1970/2000)についてとても大事なことを教え…

ソウル・レポート

今回は8月23〜26日のソウル滞在だったが、初日と最終日はできるだけソウル市内を歩いたのでその報告を。 (1) 景福宮:慶北大学の曺在模 CHO JaeMo 先生に案内していただく。まず光化門の再建がちょうど1週間ほど前に竣工したところだった。光化門は植民地期…