『建築雑誌』2010年12月号・特集「平城遷都1300年考」とどく。

ken1012_hyoushi+-thumb-363xauto-5市川智子さんイラストの東大寺転害門が揺らいでいる。そしてページを繰ると何と10ページにわたる「平城京九相図」が・・・。市街地の変容に散りばめられた民俗誌的ノート、そして手前に描かれる東大寺大仏殿・南大門・転害門そして法華堂(三月堂)・二月堂といった諸堂宇の転成過程も唸りながら味わってしまった。
奈良では1300年前への回帰がアピールされ、現在と1300年前とが一気に架橋されようとしている。そのとき忘れられるのはその「あいだ」の1300年間の歴史過程であり、1300年前の再現とされる現代の事物が不可避的に抱える「揺らぎ」である。都市に堆積する歴史的時間の意味とは何か。重層的時間と、現在性との関係は? といった主旨の特集である。うちの研究室、必読です。目次はこちら

第二部の田中純氏(ローマ)、新井勇治氏(ダマスクス)の後に、私の台湾を事例とした論考が掲載されています。今年8月の学生たちの台南サーヴェイとその後に考えたことが盛り込まれています。ティポロジアを微分化してダイナミックな理論につくりかえるイメージかな、僕が考えているのは、たぶん。