book

研究室10周年記念サブゼミ大会にて國分功一郎『中動態の世界』を読む。

國分功一郎『中動態の世界』(医学書院、2017)を読んだ。OB・OGが研究室10周年の集まりを企画してくれ、その第1部としてサブゼミ大会(OB・OGをまじえた文献購読ゼミ)をやることになったので、課題図書にこれを選び、皆で議論した。完全な能動でも完全な受…

浅間山麓の宇宙/荷車のある日常:種田元晴『立原道造の夢みた建築』(鹿島出版会、2016)を読んで

口絵に立原道造(1914-39)の絵が2点選ばれている。 ひとつは無題だが、浅間山麓の小学校を描いた鳥瞰図(1935春頃)、他は未発表のパステル画「荷車」(1930年6月)である。この2点が、表・裏に印刷されている。 前者は、著者の種田によれば、立原が都市の…

石川初研『神山暮らしの風景図鑑』

慶應義塾大学SFC石川初研究室 神山プロジェクトチーム『神山暮らしの風景図鑑』2017.02(Keio University SFC hajime lab., Visual Guide to Living Landscape in Kamiyama, 2017.02) 目次: 第1章 風景の要素(ザ・イシヅミスト/軽トランドスケープ/神…

『福島アトラス01:原発事故避難からの復興を考えるための地図集』について

『福島アトラス 01:原発事故避難からの復興を考えるための地図集』という冊子をつくりました。本のタイトルにあるとおり「アトラス=地図集」です。非常に短時間に膨大な情報を集めて整理していますが、そういう意味では生々しい実態からすーっと上に引いた…

台湾の世界遺産!?

平野久美子 編著『ユネスコ番外地 台湾世界遺産級案内』(中央公論新社、2017年3月)刊行。 作家の平野さんとは、昨年2〜3月に横浜バンカートで開かれたBankART schoolでの全8回のレクチャーシリーズ「アノニマスな世界をつくるアート(わざ・すべ):台湾の…

モダニスト再考[日本編]建築の20世紀はここから始まった

20代の頃とてもお世話になった『建築文化』。その2000年1月号(Vol.55, No.639)特集「日本モダニズムの30人 モダニスト再考2 国内編」が、単行本になりました。青井は角南隆と森田慶一の2編書いていまして、今回少し手を入れています。 以下に目次を流して…

『自分にあわせてまちを変えてみる力』が刊行されましたね。

こういう本が出ています。 饗庭伸・秋田典子・内田奈芳美・後藤智香子・薬袋奈美子 編著『自分にあわせてまちを変えてみる力 ― 韓国・台湾のまちづくり』(萌文社、2016.03) 目次はこちらを参照。 日本の「まちづくり」、韓国の「マウル・マンドゥルギ」、台…

『明治神宮以前・以後』の書評会、丸一日。

藤田大誠・青井哲人・畔上直樹・今泉宜子編『明治神宮以前・以後―近代神社をめぐる環境形成の構造転換―』(鹿島出版会、2005)に関する書評がいくつか出ていることは前に当ブログ(この記事)でまとめた。今後もまだ出るようで、ありがたい。 で、昨日は2日…

橋本健二・初田香成編著『盛り場はヤミ市から生まれた』増補版が出ました。

増補版が出ました。橋本健二・初田香成編著『盛り場はヤミ市から生まれた』増補版、青弓社、2016.01 「敗戦直後、非公式に流通する食料や雑貨などが集積し、人や金が行き来していたヤミ市は、戦後の都市商業を担う人々を育て、その後に続く新たな商業地や盛…

『明治神宮以前・以後』の書評など

本年新春(2015年2月)に刊行された藤田大誠・青井哲人・畔上直樹・今泉宜子編『明治神宮以前・以後:近代神社をめぐる環境形成の構造転換』(鹿島出版会、2014)(→当ブログ内記事、amazon)について、管見のかぎりですが以下のような新刊紹介や書評などの…

『建築雑誌』2015年7月号特集「メディアコンテンツ化する建築」

『建築雑誌』2015年7月号特集「メディアコンテンツ化する建築」が届いた。建築はいまどのような「流通価値」を持ち、つまりは社会的に価値付けられ、受容され、消費されているのか。建築の専門性から外へ出て兆候的な事例を収集し、それらを通して、逆に私た…

「領域史」とはどんな運動なのか:『建築雑誌』2015年5月号特集「都市史から領域史へ」

遅ればせながら、『建築雑誌』2015年5月号特集「都市史から領域史へ」をとりあげたい。環境と人間活動の関係についての私たちの視野を力強く描き直していくひとつの運動が主題だ。 * この運動は、他でもない2011年3月11日の直後からある種の「うねり」とし…

中谷礼仁さんの岩波『科学』での連載「動く大地に住まう」がはじまっている。

表記連載が掲載されている雑誌『科学』(岩波書店)2015年5月号を著者の中谷礼仁さんより恵投いただき、今日拝読した。連載の第1回は「Buildinghoodへの気づき」と題されている。著者が2013年正月にはじめた「プレートテクトニクス際の旅」の、そのすべり出…

10+1 website 2015年5月号特集「特集:研究室の現在──なにを学び、なにを読んでいるか」

10+1 website 2015年5月号特集「特集:研究室の現在──なにを学び、なにを読んでいるか」 青井研究室の記事 建築系の研究室はどんな本を必読文献としているか。あなたの学部4年や修士1年に薦める本を紹介せよ、というお題でした。建築史建築論研究室と称する…

建築雑誌2015年4月号特集「集合住宅の「普通の暮らし」:アジア東部6都市の比較」

建築雑誌の表記特集号が出ている。一つ前の編集委員会(2012-13)でもアジアのハウジング特集をやったが(→201308特集「アジアン・ハウジング・ナウ」)、そのときおよそ前提になると考えた見取り図は次のようなものだった。第一に、東南アジア・南アジアに…

辰野金吾:英国的・ピクチャレスク的自由と、後進国日本の国家的要請のあいだで

河上眞理+清水重敦『辰野金吾』(ミネルヴァ書房、2015)を3月中旬にご恵投いただき、すぐに読んでお礼のメールを送ったのだが、あらためて感想を書いておきたい。 辰野金吾(1854-1919)といえば、藤森照信先生の『日本の建築 明治・大正・昭和 3 国家のデ…

福島原発事故現場20Km圏内を見て

昨日(2015.03.27.Fri.)明治大学中野キャンパスにてアーキエイド総会が開かれ、ゲスト・コメンテーターとして参加させていただいた。塚本由晴・貝島桃代のお二人の進行により12本の活動報告があり、懇親会、二次会と・・・。こうした試みの数々からどのよう…

数年間の共同研究の成果、『明治神宮以前・以後』が刊行されました。

2009年より、藤田・青井・畔上・今泉を中心に、たくさんの方々のご参加・ご協力をいただいて進めてきた分野横断型の共同研究の成果が、鹿島出版会より刊行されました(担当は川尻大介さん)。装丁デザインは中野豪雄さん(nakano design office/本書の紹介…

『ja』96号:YEAR BOOK 2014

新建築社『ja』の96号(Winter, 2015)はYEAR BOOK 2014。建築の現在をどう切ってみせるか。ビルディングタイプ? ジャンル? サイズ? 今号ではプロジェクトが要した時間の長短という尺度で作品が並べられている(編集長:中村光恵)。ちょっと見にくいけど…

こんなときは、匂いをかぎつけなければならない:『磯崎新 interviews』を読んで

磯崎新+日埜直彦『磯崎新 interveiws』(LIXIL出版、2014)を読み終える。献本頂いたものの手に取る時間がないままだったが、最近断続的に読み進め、読了し、記憶が消えないうちにと思い、昨日一気に再度通読した。今後も多方面の勉強を重ね、時々戻ってこ…

アセテートとは何だったか:編集出版組織体アセテート8/27をもって活動終了。お疲れさまでした。

以前、アセテートサイトに「活動終了のお知らせ」が出ましたが、いま気づいたのですが8/27付けの中谷礼仁さん(同代表)のサイト内の記事にてあらためて同日活動終了の旨が淡々と記されていました。この記事が「この二冊 アセテート版から世界へ」と題されて…

雑誌『東京人』2014年8月号特集「東京人的台湾散歩」台湾我来了

雑誌『東京人』2014年8月号の特集は「東京人的台湾散歩」です。 上野の東京国立博物館での「台北 國立故宮博物院−神品至宝−」展開催( 2014年6月24日(火) 〜 2014年9月15日(月))にあわせて編まれた台湾特集。片倉佳史さん、片倉真理さん、与那原恵さんら…

フィールドワークを端的に訳すと「野良仕事」であるということです!(中谷礼仁)一同 笑(藤森照信・石川初)

座談会 藤森照信×中谷礼仁×石川初 「野良仕事のすすめ、無用の用が面白い。」(『東京人』2014年5月号特集「フィールドワーカーになる」) さっき、同誌の編集の方にいただいて、ざあーっとページを繰っていて、この発言に目がとまって爆笑した。「まず最初…

"Constructing the Colonized Land: Entwined Perspectives of East Asia around WWII" came out.

"Constructing the Colonized Land: Entwined Perspectives of East Asia around WWII", edited by Izumi Kuroishi, was released from Ashgate Publishing, Farnham-UK. Izumi-san launched the project with her friends in 2009 to publish a book discus…

テリトーリオとティポロジアをつなぐ論集『水都学』第2号が出ました。

『水都学 II』特集=アジアの水辺(陣内秀信・高村雅彦編、法政大学出版局、2014年3月) →法政大学出版局, amazon 力のこもった論考が盛りだくさん。青井は、テリトーリオ(領域)としての水系・水辺と、ティポロジア(建物類型)的な都市組織理解とをつなぐ…

瓦礫の中の建築論 ---『雑口罵乱 7』所収の竹内泰さんの講演録を是非読んでほしい。

滋賀県立大学環境建築デザイン学科の学生有志グループ DANWASHITSU が毎年発行している『雑口罵乱』第7号を読んだ。DANWASHITSU では1999年から錚々たる建築家、ランドスケープアーキテクト、エンジニア、建築史家、職人らを招いての講演+討論会を続けてい…

橋本健二+初田香成編著『盛り場はヤミ市から生まれた』(青弓社)出ております。

2010年からだったでしょうか、社会学の橋本健二先生、都市史の初田香成さん、吉祥寺の研究(だけじゃない)を頑張ってきた井上健一郎さんらの集まりに誘ってもらい、以後もこの研究会に若い人々が多方面から集まりましたが、そのメンバーによる研究の成果が…

SDレビュー2013刊行。後半は入選者と塚本由晴・青井哲人による丸々1日討論。

『SDレビュー2013』が刊行された。今年は入選作のページが拡充され、提案が「読める」誌面になったね。そして後半の企画は、入選者のみなさんによる非公開ゼミ。題して「SD丸々1日討論:日本現代建築における歴史認識をめぐって/SD a Day Long Debate: on …

とりあえず1本、おめでとさん。

俗にいう黄表紙に、下記論文が掲載されました。 石榑督和+青井哲人「闇市の形成と土地所有からみる新宿東口駅前街区の戦後復興過程」(日本建築学会計画系論文集 no.694, 2013年12月, p.2627-2635) 明治に来て、学生さんによる黄表紙の記念すべき最初の1…

10+1 web site 201311 書評特集に寄稿しました。

10+1 website 2013年11月号 特集 ブックレビュー2013 が少し前から公開されていますが、僕も編集部からの依頼に応えてひとつ書かせていただきました。 青井哲人「群像の貴重な証言集めた労作。私たちはその声をどう聞くか──豊川斎赫『丹下健三とKENZO TANGE…