2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

これでもかと定番日本建築を見続ける日々。 〜古建築実習中間報告〜

明治大学建築学科には、堀口捨巳先生がつくった「古建築実習」なる科目があり、4年生の希望者を連れて6日間の旅に出る。僕は今年初体験なので頑張って予定を開け、10月27日(月)〜11月1日(土)のフル参加。奈良にはじまり京都南部を一瞥して、4日目の今…

都市史特論04/計画された都市から、生きられた都市へ

1023 まずは都城論のおさらいから。 (1)コスモロジーは天〜身体の相似学であり、都市にもダイアグラム的形態を要求する。 (2)儀礼は群衆(知覚する身体)に対して皇帝の権威を表象するバロック的空間演出を要求する。 (3)機能、つまり皇帝・貴族・官人らをそ…

全体ミーティング

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修論3本。ようやくそれぞれの目標が具体的に見えるだけの作業をしてくれたなという感じ。それから先行研究のレビュー報告がちらっとあったので、それらをきちんと評価しつつ、それに対して自分の研究がどこに位置するかを示さないとダメよと言うと、皆が「そ…

西洋建築史05/市民生活の空間〜ギリシアとローマ〜

メソポタミア以降の古代オリエント世界とその蓄積の上にある古代ギリシアの何が違うか。前回は構法と表現の問題を軸にしたが、その観点からみると、壁で囲われた内部の列柱ホールという構成(ペルセポリスの百柱の間みたいなもので、のちに古典期モスクにも…

「違和感はなかったですね」〜北村氏インタビュー〜

1018 午後、西荻窪のご自宅に元・坂倉建築研究所の北村修一さんを訪ねた。渋谷の東急会館(1954竣工)・東急文化会館(1956)、難波の南海会館(1957)を担当された方(そして例の東名高速のトールゲートも!)。何と3時間半にわたって、人なつこい笑みとと…

都市史特論03/理念型とその移植をめぐって〜東アジア都城論の構図〜

1016 前回は北京を散歩しながら中国都城の空間概念を単純化して取り出すことを試みた。今回はそこに意味(宇宙論的な意味)を充填する作業。しかし意味といっても、何か突然に深遠な世界に入り込んでしまうと考えない方がよいのではないかと僕は思う。簡単に…

全体ミーティング等々

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1015 全体ミーティングはM2修論ではF君の台湾調査報告、Mさんの築地都市人類学、そして今日の収穫はM1のH君がかなり塚本都市建築論の読み込みを深めていること。ちょこちょこ書いているように、最近R・ヴェンチューリが思いのほか面白いことを再発見してい…

西洋建築史04/組積系と軸組系〜オリエントからギリシアへ

1015 メソポタミア、ペルシア、エジプトなどの古代文明にみられる建築物をみてゆくと、石という同じ材料がいくつかの構法とその複合という高度な水準にまで高められていくのが分かる。構法、正確には構法の術 art of construction とでも言うべきかもしれな…

渋谷資料調査

大学院生3人のチームをつくって渋谷を調べている。もうちょっと言うとターミナル駅複合体がいかにaccommodatingかつvestigialなプロセスによってつくり上げられてきたかを検証したいと思っている。お察しのとおりブログのタイトルにも重なるテーマ。これはヴ…

西洋建築史03/都市の誕生〜メソポタミア〜

前回の主題は、新石器革命による「建築の誕生」だった(ただしそれは、洞窟から出たヒトが、地上に資材を積み上げたり結び合わせたりして建物を構築しはじめたことを意味するのであって、「建築 Architecture」概念の誕生はまた先の話題)。メソポタミアのギ…

都市史特論02/都城1:北京〜中国的空間構造の把握〜

きわめて単純な話。第1に中国世界は長城から皇帝の玉座にいたる幾重もの入れ子状の囲い込み構造をもち、都城はこの構造の核心部をつくること。第2に都市を埋め尽くす建物がビルディングタイプを超えて(宮殿からモスクまで)四合院的な囲い込みユニットによ…

西洋建築史02/先史時代の建築〜非対称世界への旅立ち

ヒトの革命にはいろいろあるが、 (1)「心の革命」(5-6万年前。脳の革新) (2)「新石器革命」(約1万年前。農耕のはじまり) (3)「モーセの革命」(約3千年前。一神教の発明) の三つを置くと、建築の歴史も理解しやすいように思う。長い長い旧石器時代の末…