2014-01-01から1年間の記事一覧

ゴシックにおける鉄の使用:建設現場は工匠たちの“研究室”

ゴシック建築に鉄の補強材が、12世紀の計画・建設当初の段階ですでに石造構造体と一体的に用いられたことが、いわゆる放射性炭素年代測定法によって判明しつつあるらしい。 Gothic cathedrals blend iron and stone, CNRS press release, Paris, 17 December…

10月1日開催の新国立競技場シンポの内容が10+1 website にて公開 + 磯崎新氏のコメント、ザハ・ハディドによる批判

2014.10.01に建築会館にて開かれたシンポジウム「新国立競技場の議論から東京を考える」の内容が公開されています。スピーカーは槇文彦(建築家・槇総合計画事務所代表)、内藤廣(建築家・内藤廣建築設計事務所代表、東京大学名誉教授)、浅子佳英(建築家…

『ja』96号:YEAR BOOK 2014

新建築社『ja』の96号(Winter, 2015)はYEAR BOOK 2014。建築の現在をどう切ってみせるか。ビルディングタイプ? ジャンル? サイズ? 今号ではプロジェクトが要した時間の長短という尺度で作品が並べられている(編集長:中村光恵)。ちょっと見にくいけど…

都市史研究の運動性を感じた1日

一昨日(12/12)の日本建築学会都市史小委員会シンポにつづき、都市史学会大会に参加。残念ながら12/13は大学院の中間発表会だったので西川幸治先生の記念講演を拝聴できなかったのだが、14日のシンポでは各分野の研究動向の報告を聞き、ラテンアメリカ都市…

大地/地面/土地の三位相の複合としての「地」

20141212.Fri. 日本建築学会都市史小委員会シンポジウムが行われ、コメンテーターとして参加したが、とても面白かった。早起きして京都へ行った甲斐あり。 日本建築学会主催 建築歴史・意匠委員会 都市史小委員会シンポジウム 「都市と大地」シリーズ1 「都…

こんなときは、匂いをかぎつけなければならない:『磯崎新 interviews』を読んで

磯崎新+日埜直彦『磯崎新 interveiws』(LIXIL出版、2014)を読み終える。献本頂いたものの手に取る時間がないままだったが、最近断続的に読み進め、読了し、記憶が消えないうちにと思い、昨日一気に再度通読した。今後も多方面の勉強を重ね、時々戻ってこ…

都市形態論をいかに教えるか[復刻:2008.05.17, 06.02]

忙しさにかまけて復刻シリーズで失礼します。前に勤めてた大学は建築の専門教育課程のない大学だったのですが、ということは学生さんたちも誰も建築専門家になるわけではなく・・・そういう学生たちに都市の型態について考えてもらう授業について偉そうに書…

日本建築にはなぜこんなにも分類があるんだろう[復刻:2005.03.04]

前任地・人間環境大学時代のブログ(semi@aoao)、大半が消滅したのですが救出できるものもあるので、たまに気が向いたら復刻します。10年近く前の記事で、思考様式が変わってないことには呆れますが、でも面白いこと書いてるなと思いました。 日本建築には…

古建築実習2014:法界寺阿弥陀堂についての覚書

10月6日(月)生田(開始)/白川郷(キャンセル)/美濃(泊) 10月7日(火)美濃(伝健)/永保寺(開山堂・観音堂・方丈)/関宿(伝健)/奈良駅(解散) 10月8日(水)奈良駅(集合)/法隆寺(西院中門・金堂・五重塔・大講堂/東院夢殿)/薬師寺(金…

新国立競技場関連記事データベース

研究室(http://www.meiji-aoilab.com)の学生有志チームが精魂傾けてつくったデータベース新国立競技場関連データベース New National Stadium Project: Related Article Databaseを9月7日より公開しています。その一部を整理したものを、日本建築学会建築…

建築夜学校第一夜:新国立競技場をめぐる議論を終えて(ノート)

一昨日(20141001)、日本建築学会 建築夜学校2014「東京オリンピック2020から東京を考える」の第一夜の企画として開かれた、「新国立競技場の議論から東京を考える」と題するシンポジウムに登壇した。槇文彦さん、内藤廣さん、浅子佳英さん、青井の4名が発…

綾里プロジェクト2014:大船渡市綾里にて昭和三陸津波後の「復興地」の家屋調査

報告遅くなりましたが、2014.08.26〜08.30の5日間(実質的な調査期間は4日間弱といったところ)、岩手県大船渡市綾里の各集落にて大変有意義な調査をしてきました。首都大学東京の饗庭伸先生を代表者とする科研費のプロジェクトで、災害や復興の経験を含む地…

アセテートとは何だったか:編集出版組織体アセテート8/27をもって活動終了。お疲れさまでした。

以前、アセテートサイトに「活動終了のお知らせ」が出ましたが、いま気づいたのですが8/27付けの中谷礼仁さん(同代表)のサイト内の記事にてあらためて同日活動終了の旨が淡々と記されていました。この記事が「この二冊 アセテート版から世界へ」と題されて…

ミクロな実証とマクロな枠組がいよいよ立体的に結びつきつつある・・・台湾調査2014沙仔崙

2014.08.09〜08.24 台湾。学生たちとみっちり調査をしたのは8月11日〜21日で、そのうち2日はエクスカージョンだったし、初日と最終日は半日だから、まあざっと1週間の調査だったことになる。今年のターゲットは彰化県田中鎮の沙仔崙Sua-a-lun という街だ。…

中野のI-AUDプログラムで Urban and Architectural History という授業をやっている。

昨年(2013年)4月、明治大学理工学部建築学教室では、大学院(理工学研究科建築学専攻)の新しいプログラムとして、中野キャンパスで通称I-AUD(International Program in Architecture and Urban Design)を開校した。アーバン・デザインあるいは広義のア…

西村拓真さんが日本建築学会修士論文賞を受賞

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この春、院を修了した西村拓真さん(建築史・建築論研究室出身)が、日本建築学会 優秀修士論文賞を受賞しました(→学科HP)。 昨年の森山敦子さん(→学科HP)につづいての受賞。すばらしい!受賞者一覧はこちら 明治大学建築史・建築論研究室HP内 修士・卒…

雑誌『東京人』2014年8月号特集「東京人的台湾散歩」台湾我来了

雑誌『東京人』2014年8月号の特集は「東京人的台湾散歩」です。 上野の東京国立博物館での「台北 國立故宮博物院−神品至宝−」展開催( 2014年6月24日(火) 〜 2014年9月15日(月))にあわせて編まれた台湾特集。片倉佳史さん、片倉真理さん、与那原恵さんら…

山岸剛 写真展 "Tohoku: Lost, Left, Found" をみて

たとえば、この前年の、よく晴れ上がった秋空を、その空の極みとでも言いたい高空を、ほとんど幾何学的なまでに真直ぐな、四条の白い航跡を引いて飛んで行く、偵察用のB29機などは、その純粋に金属的な、一点の銀の色に、むしろ一種の、科学的感動をさえ喚…

再論:新国立競技場コンペ問題について

新国立競技場をめぐる議論が活発化している。5月28日に基本設計完成の報道があり、反対の発言や対案の発表が相次ぎ、マスコミでも小さな報道特集的なものが組まれ、6月15日には神宮外苑と国立競技場を未来に手わたす会が主催した緊急シンポジウム(会場は日…

「日本近代建築の百年 1914〜2014」(web版建築討論)+「建築における日本近代化100年の「倉」とは」(をちこち)

日本建築学会web版建築討論に、第2回けんちくとーろん(公開座談会)「日本近代建築の百年 1914〜2014」が掲載された。web版建築討論第2号のコンテンツだが、この座談会のみ先行公開した模様。レム・コールハースがプロデュースするヴェネツィア・ビエンナー…

研究室のウェブサイトができました。

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http://www.meiji-aoilab.com 今後しばらくコンテンツを補追していくことになると思いますが、ひとまず必要最低限のものはできたかなと思いますので公開しました。制作に当たってくれた皆さんご苦労さん。業務連絡:研究室メンバー諸君、ブログの更新が滞っ…

近世的な「地震の間」の継承と、近代的な「在来工法」への変化、との併存:千葉県佐倉市にて

2014.05.04 Sun. 千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館に出かけて、「歴史にみる震災」展(2014.3.11〜5.6)をみてきた。今年から首都大の饗庭伸先生代表のチームで進めることになった綾里プロジェクト(岩手県大船渡市)の仲間である、東大の岡村健太郎さ…

フィールドワークを端的に訳すと「野良仕事」であるということです!(中谷礼仁)一同 笑(藤森照信・石川初)

座談会 藤森照信×中谷礼仁×石川初 「野良仕事のすすめ、無用の用が面白い。」(『東京人』2014年5月号特集「フィールドワーカーになる」) さっき、同誌の編集の方にいただいて、ざあーっとページを繰っていて、この発言に目がとまって爆笑した。「まず最初…

景観のアーキテクチャ:建築史学会2014年度大会シンポジウム

2014.04.19 Sat. 建築史学会2014年度大会@京都工芸繊維大学。下記のシンポジウムに登壇。 記念行事 シンポジウム「“町並み”か“景観”か―町並み・集落・都市・景観保存の現在と建築史学―」 司会 中川理(京都工芸繊維大学) 趣旨説明 大田省一(京都工芸繊維…

備忘録:台湾の太陽花学運(ひまわり学生運動)(立法院占拠)について

3月末から4月初にかけて台湾におり(当ブログのひとつ前のエントリ参照)、帰国前日の4月5日の夜、台北の立法院周辺を歩いて参りましたが、立法院(国会議事堂)の学生らによる占拠とその周囲で展開された連日の運動には多くのことを学ばせてもらった。運動…

ゆえあって、こんなことをして参りました。

行程データ: 台北→大園→後龍→西螺→台南→枋寮→台東→瑞穂→礁渓→台北 (花蓮→蘇澳:鉄道) 9日間(03.28-04.05) 896Km 標高0〜546m(図中のグラフは高度の推移を示す) 台湾の地形を学びました。

2014年度 青井研究室の修士論文

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林直弘「同潤会と戦前・戦中期の東京郊外住宅地形成:工業都市・川崎における「官」「公」「民」の住宅供給とその政策史的背景」 西村拓真「1950〜70年代大阪における都市再開発とRIA:法制度/職能/共同体の相互規定的な変転から」 野口努「戦後日本における…

10+1 website 2014年3月特集「伊勢/式年遷宮:古代建築と反復の神話学」公開

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10+1 website 2014年3月特集 伊勢/式年遷宮:古代建築と反復の神話学 伊勢神宮を語ること、その可能性と不可能性──式年遷宮を機に/井上章一(建築史)×安藤礼二(文芸批評)×青井哲人(建築史・都市史) 反復による文明の比較──式年遷宮から日本を見る/大…

"Constructing the Colonized Land: Entwined Perspectives of East Asia around WWII" came out.

"Constructing the Colonized Land: Entwined Perspectives of East Asia around WWII", edited by Izumi Kuroishi, was released from Ashgate Publishing, Farnham-UK. Izumi-san launched the project with her friends in 2009 to publish a book discus…

テリトーリオとティポロジアをつなぐ論集『水都学』第2号が出ました。

『水都学 II』特集=アジアの水辺(陣内秀信・高村雅彦編、法政大学出版局、2014年3月) →法政大学出版局, amazon 力のこもった論考が盛りだくさん。青井は、テリトーリオ(領域)としての水系・水辺と、ティポロジア(建物類型)的な都市組織理解とをつなぐ…