2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

都市史特論08/江戸の町〜都市集住の世界〜

玉井哲雄先生の『江戸〜失われた都市空間を読む』(平凡社、1986年)はホントに面白い。僕の大好きな本のひとつ。土地と建物が社会を織り込んで形態化されるダイナミクス、そしてそれが無意識の内にのちの都市を決めてしまう微弱で強固な規定力が平易に解き…

西洋建築史09/晩期ゴシックからルネサンスへ

まずゴシックについて補足を2点。 ひとつはコルドバのメスキータ=カテドラルについて。切妻屋根の反復による工場のごときモスクのホールを食い破って、フライングバットレスを持つ聖堂本体が屹立する。大聖堂はリブヴォールトを持ち、後のバロックの要素も…

やっぱり近代住宅史のアーカイブですね、大阪は。

1125 Tue. 10年越しの借金(宿題)を返すために大阪へ。いくつか見なければならない建物をレンタカーで巡る。坂倉建築研究所設計の箕面観光ホテル、旧枚岡市庁舎(現東大阪市旭町庁舎・旭町図書館ほか)、府立阪南高校など、それと渡辺豊和のオッパイハウス…

韮山の江川家住宅

白井晟一が「縄文的なるもの」の文脈で言及した(新建築195608)あの江川家住宅を、先日所用の折に見た(1116 Sun)。やはり方七間の漆黒の土間は大きく深かった。苦塩の疎密が長年人に踏まれて生み出す三和土の凹凸を、中川武先生は光の具合によってビロー…

都市史特論07/城下町〜日本的ゾーニングの基盤はいかにつくられたか〜

日本の多くの都市に、近代の機能主義的ゾーニングですら依拠せざるをえない先行条件としての土地利用パタンがある。それが城下町の身分制ゾーニングだ。先日、古建築実習で学生を引率して一週間旅行をしたが、姫路城の天守から見下ろした市街地は、かつての…

全体ミーティング

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1119 修論より3本。Kさんの70年代住宅論、Mさんの映画都市論、Iくんの渋谷研究。どれも面白くなってきた。僕もかなり勉強させられている。 Iくんの作業でかなり明らかになりつつあるのだが、坂倉事務所のあの独特の仕事の拡がりは、戦中期にその根がある。つ…

西洋建築史08/大聖堂の世界〜ゴシックとは何か〜

第7回(前回)、教会堂とモスクの比較をやったが尻切れ気味だったので再度まとめ直し。その上で、「どちらがより“一神教の空間”にふさわしいか」という問いを学生に投げて挙手させてみたところ、モスクの圧勝であった。なぜならモスクは、絶対的超越性として…

旧友再会、田町にて。

昨夜(1114 Fri.)は学会の法人組織基本問題検討委員会のため田町へ。すると建築会館からぞろぞろと出て来る一団のなかにF野先生を発見してしまい、あちゃーと思っているとそのなかに博士課程時代の同期である麻里さんがいるではないか! 病気で苦労していた…

都市史特論06/〈境内〉と〈町〉〜多核複合的な都市領域

西アジアでは余剰の社会化過程が都市を発達させ都市国家を生み出すのに対して、東アジア(少なくとも日本)では王権が都市という仕組みを導入した。権力はその機構が大きくなればなるほど商工業者を組み込まざるをえなくなる。古代権力はいちおう国家を一元…

西洋建築史07/一神教の空間 〜教会堂とモスク〜

第2回で中沢新一にならって掲げておいたヒトの3つの革命を思い出そう。第3の革命はモーセの革命(3千年前)だった。これは建築に決定的な目標を与えたはず。モーセの前に現れた神は、アニミズム的な精霊でもなく、多神教的な神でもなく、表象を禁じる絶対…

レーモンドはやはりすごかった。

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20081107〜09 研究室のメンバーと群馬・栃木を中心に近現代建築を見て廻る。 A・レーモンド/群馬音楽センター(1961)see photo album

旧友再会、渋谷にて。

1105 『日本統治下の海外神社―朝鮮神宮・台湾神社と祭神』(弘文堂、2004)の著者、菅浩二さんとは、僕が海外神社研究をはじめた頃にある方にご紹介いただいて以来の旧友。たぶんもう10年になるんじゃないだろうか。彼はその後3年間ハーバードのライシャワ…

都市史特論05/都市と都市以前 〜都市とは何か?〜

都市以前から都市を分けるもの、つまり都市性とは何か。結論からいえば、今のところ日本では王権の成長が統治機構の一部としての中国都城(外来モデル)を要請したことに都市のはじまりをみるのが学界では妥当とされているよう。しかしそれ以前の大規模集落…

西洋建築史06/アーチ系技術の展開〜ローマからビザンチンまで

古代ローマの建築生産上の大きな特徴はコンクリートを大々的に用いたこと。ポゾラナ pozzolana と呼ばれる土(火山岩が砕けてできたもの)に、石灰と水を混ぜ、骨材として石や煉瓦の砕いたものを加えて突き混ぜれば水中でも凝固する。で、この話をすると服部…

全体ミーティング

lab

今日はDのK君、M1のM君、M2のHさんの3人が報告。 そんでHさんの発表で川添登氏のメタボリズム論に眼を開かれた気がした。いかに私の理解が薄っぺらであったかと恥じ入る(いやたんなる不勉強か)。川添氏はインフラストラクチャを否定して、ひとつひとつの住…

[classJAp]先週末(土曜日)の夜遅くに古建築実習から帰還。翌日は赤坂の坂倉事務所にて1日中缶詰。その翌日は大学の学科主催シンポジウムなどとバタバタしながら、今年も何とか科研申請書を書き終え、原稿もひとつやっつけた。陳正哲さんとの共同執筆で、今…