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都市史特論13/見えない都市〜磯崎新の1960年代 (最終回)

まだまとまった研究のない日本の戦後都市史への展望を描いてこの授業を終わろうと思い、いろいろ悩んだあげく、磯崎さんが1960年代に書きまくっていた都市論の著作をひととおり読み直して紹介するという方法を選ぶことにした。それは、圧倒的な先見性(した…

都市史特論12/自然環境と構築環境

話題はソウルの清渓川(チョンゲチョン)再生事業。現大統領・李明博の市長時代のプロジェクトである。 李朝時代、日本植民地時代、朝鮮戦争時代、高度成長期、そして21世紀。こうして通時的に清渓川の景観と社会的位置を辿ってゆくと、この川の変化、とりわ…

都市史特論11/破壊と再生〜都市生成のシャーレ

今回は都市の破壊を題材とした。関東大震災(震災・火災)、第二次世界大戦(戦争)、そして高度成長や規制緩和だってある種の都市破壊であるから、日本の都市はほとんど20年に満たないピッチで破壊を繰り返し、そのつど再生してきたことになる。 災害復興に…

都市史特論10/郊外の誕生〜武家地開発から私鉄支配へ〜

郊外の問題を考えるには、多少回り道になっても、産業化時代に都市が経験した新しい局面を理解する必要がある。というわけで、産業革命期のイギリスの都市生活誌を紹介。この時期のイギリス都市についてはエンゲルスのものをはじめとして膨大な記録があり、…

都市史09/江戸から東京へ〜明治の東京計画

1204 いよいよ近代。 まずは松山恵さんの研究(たとえばコレ)にもとづき如何にして江戸が首都となったかを概観。考えてみると、実は三都が首都機能を分掌していたのだということも、また大名たちが地方を経営していた時代の徳川の政府機構がいかにコンパク…

都市史特論08/江戸の町〜都市集住の世界〜

玉井哲雄先生の『江戸〜失われた都市空間を読む』(平凡社、1986年)はホントに面白い。僕の大好きな本のひとつ。土地と建物が社会を織り込んで形態化されるダイナミクス、そしてそれが無意識の内にのちの都市を決めてしまう微弱で強固な規定力が平易に解き…

都市史特論07/城下町〜日本的ゾーニングの基盤はいかにつくられたか〜

日本の多くの都市に、近代の機能主義的ゾーニングですら依拠せざるをえない先行条件としての土地利用パタンがある。それが城下町の身分制ゾーニングだ。先日、古建築実習で学生を引率して一週間旅行をしたが、姫路城の天守から見下ろした市街地は、かつての…

都市史特論06/〈境内〉と〈町〉〜多核複合的な都市領域

西アジアでは余剰の社会化過程が都市を発達させ都市国家を生み出すのに対して、東アジア(少なくとも日本)では王権が都市という仕組みを導入した。権力はその機構が大きくなればなるほど商工業者を組み込まざるをえなくなる。古代権力はいちおう国家を一元…

都市史特論05/都市と都市以前 〜都市とは何か?〜

都市以前から都市を分けるもの、つまり都市性とは何か。結論からいえば、今のところ日本では王権の成長が統治機構の一部としての中国都城(外来モデル)を要請したことに都市のはじまりをみるのが学界では妥当とされているよう。しかしそれ以前の大規模集落…

都市史特論04/計画された都市から、生きられた都市へ

1023 まずは都城論のおさらいから。 (1)コスモロジーは天〜身体の相似学であり、都市にもダイアグラム的形態を要求する。 (2)儀礼は群衆(知覚する身体)に対して皇帝の権威を表象するバロック的空間演出を要求する。 (3)機能、つまり皇帝・貴族・官人らをそ…

都市史特論03/理念型とその移植をめぐって〜東アジア都城論の構図〜

1016 前回は北京を散歩しながら中国都城の空間概念を単純化して取り出すことを試みた。今回はそこに意味(宇宙論的な意味)を充填する作業。しかし意味といっても、何か突然に深遠な世界に入り込んでしまうと考えない方がよいのではないかと僕は思う。簡単に…

都市史特論02/都城1:北京〜中国的空間構造の把握〜

きわめて単純な話。第1に中国世界は長城から皇帝の玉座にいたる幾重もの入れ子状の囲い込み構造をもち、都城はこの構造の核心部をつくること。第2に都市を埋め尽くす建物がビルディングタイプを超えて(宮殿からモスクまで)四合院的な囲い込みユニットによ…

都市史特論01/イントロダクション

0925 大学院の都市史の授業。今年開講。 今日は院生たちの知識レベルをテストしようと、15枚のスライドを用意して、その映像がどの都市に関するものかをあてるクイズをやった。授業は日本都市史のプログラムになっているが、スライドには(日本の都市と何ら…