都市史特論02/都城1:北京〜中国的空間構造の把握〜

きわめて単純な話。第1に中国世界は長城から皇帝の玉座にいたる幾重もの入れ子状の囲い込み構造をもち、都城はこの構造の核心部をつくること。第2に都市を埋め尽くす建物がビルディングタイプを超えて(宮殿からモスクまで)四合院的な囲い込みユニットにより構成されているということ。中国都市は、この二重の意味で「ハコ=封閉空間」の集合体である。そして、帝国から家族まで、それぞれのレベルのテリトリーの主宰者が北に座して南の庭(院)を見るような空間構成をとる。
こうした単純な原理を踏まえるだけで、中国都市への見通しはずいぶん明るくなる。生きられた都市のディテールも本当は語らねばならないが、この授業では日本に都市を生み出すことになった外来の強固な観念のありようを把握しておくことが目的。
次回はこの明快な空間構成に充填されていた意味の世界(コスモロジー)と制度の世界(プログラム)を簡単に紹介して、日本へと目を移していくことにしよう。