2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「全球都市全史研究会」はおもしろくてむずかしい研究会です。

建築のみならず歴史学、政治学、経済学などの多様な分野の方々が都市(とくにメガ都市)の環境へのインパクトという問題に挑む、村松伸さん主宰の研究会(メガ都市プロジェクトの一環)。今日はその第3回で、テーマは「生態系から見た都市とそのネットワー…

高過庵での顛末

御父上はそこに這い込むやいなや、おもむろに窓をぜんぶ開け放ってくださり、すると室内の小宇宙が、美しい峻峰に取り巻かれた諏訪の盆地というもうひとつの宇宙へと見事につながっていくのでありましたが・・・旋風のためか突然ばたんっぴしゃりっと閉まっ…

海野宿・茅葺き町家のメタモルフォーゼ

研究室旅行3日目の朝歩いた北国街道の海野宿にて。 資料館に展示されていた写真によると、昭和初期になっても旧宿駅の町並みは茅葺きと瓦葺きが混じり(大半は茅葺き)、そして寄棟の茅葺きは妻入りと平入りが入り交じるといったように、やや渾沌とした風景…

週末(20〜22日)は研究室メンバーで山梨・長野方面へ。まずは日誌を。

11月20日(金):(1) 清白寺、仏殿(室町期)と庫裏(元禄期)を開けていただく。仏殿は方三間裳階付の典型的な禅宗様建築では最もコンパクトな事例。国宝。(2) 山梨文化会館(丹下健三/1967)、60年代的都市構想の建築的実現。TVスタジオ、中庭、屋上など…

売り家・小屋掛け

村野藤吾は五十を過ぎて自宅を建てようと思い、終戦直後に大和や河内の田舎の家を見て回り、どこかの村の名家の隠居家を買ってそれを改造して住んだ。「売り家」と言って、当時は田舎の家を買うのが流行していたという。家を買わなければ家を建てられなかっ…

日本の家は、素晴らしい家具に似ている。

昨年「家具道具室内史学会」という学会が設立されていて、この方面にも少なからず関心を寄せる身として遅ればせながらその会誌創刊号(2009年5月刊)を読んだ。家具や室内はこれまで建築史も民族学も考古学もうまく扱えずに来ている、新しい問題領域になりう…

chrono-graphy(時誌, 時の記録術)についてちょっと追加

前回のエントリーで、なんで時誌(時の記録術)= chrono-graphy という言葉はないのかと素人まるだしで考えてしまったのだが、ふと気づいたことをひとつ。topo-graphy は場所の不均質性に由来する。見知らぬ場所の固有の特徴は旅して記録しなければならない…

地誌はあるが「時誌」という言葉はないらしい。

鈴木博之+東京大学建築学科編『近代建築論講義』(東京大学出版会、2009)を読んだ。鈴木自身の短い論考がどれも冴えていると思った(他の論考より明らかに射程が広い)。以下は本書への直接の感想ではないので恐縮なのだが、ああ面白いなと思ったのは、鈴…

所用で武蔵野美術大学に行ってきた。

昨日、所用があり武蔵野美術大学鷹の台キャンパスに松葉一清先生を訪ねた。用件が終わった後、松葉先生にキャンパスをざっと案内していただいた。芦原義信先生のマスタープランにより1961年に開設されたキャンパス。 たぶん一番知られているのはアトリエ棟(…

世界的にみて特異な駅空間=都市空間をつくってきた会社をたずねる。

今日は東京駅八重洲口にある株式会社鉄道会館をたずね、お話をうかがった。毎週非常勤講師として通っている前任地(人間環境大学)のS君が卒論で「民衆駅」を調べていて、彼と2人での取材だった。 (↓写真『大林グラフ』1954年12月号。手前が鉄道会館。まず…

Shibuya-style ‘scramble’ crossing came to London.

渋谷スタイルの「スクランブル」交差点がロンドンにお目見え。オクスフォード・サーカスに昨日(11月2日月曜日)。ロンドン五輪がらみの都市整備の一環みたいで、市長が「英国の工学と、日本の改良と、そして伝統的良識の勝利」と、いかにもな演説をしたと報…