週末(20〜22日)は研究室メンバーで山梨・長野方面へ。まずは日誌を。

11月20日(金):(1) 清白寺、仏殿(室町期)と庫裏(元禄期)を開けていただく。仏殿は方三間裳階付の典型的な禅宗様建築では最もコンパクトな事例。国宝。(2) 山梨文化会館(丹下健三/1967)、60年代的都市構想の建築的実現。TVスタジオ、中庭、屋上など案内いただく。コアの形状(単純な円柱ではない)に色々の苦労がにじみ出ていた。全体から細部まで実は表現主義の香り濃厚。ヴェンチューリを想起。(3) 八ケ岳美術館(村野藤吾/1980)、プレキャストの半円ドームを連ねる。カーテン絞り吊りの天井。開口の高さなど微細な操作に満ちている。(4) 清春芸術村には、清春白樺美術館谷口吉生/1983)、ルオー記念館(谷口吉生/1986)、梅原龍三郎アトリエ(吉田五十八/1951/移築)、ラ・リューシュ(ギュスターブ・エッフェル/1900/模造)、茶室「徹」(藤森照信/2004)などがある。ラ・リューシュは移築ではなく再現だが集合アトリエとしての内部構成を見たかった(非公開)。(5) 片倉館(森山松之助/1928)、絶品の銭湯。諏訪方面に行く人には強力お勧め。森山は台湾総督府で活躍した建築家で、帰国して独立。諏訪泊。

11月21日(土):(6) 高過庵(藤森照信/2004)、藤森先生の御父上にご案内いただく。18名入る。揺れる。強風。事件発生。楽しく解決(?)。(7) 茅野市神長官守矢史料館(藤森照信/1991)、守矢家と諏訪家の長い歴史には背筋が凍る。この旅を通じてそこかしこに藤森的原風景の断片を見た気がするが如何。(8) 松本市民芸術館(伊東豊雄/2004)、馬鹿でかくて僕には辛かった。(9) 長野県信濃美術館・東山魁夷館(谷口吉生/1990)、これはすでに2度訪ねているので学生たちに任せて上田へ。宿は駅前のムーディーな?ビジネスホテル。翌朝の朝食はストーブを炊いた1階の喫茶で。

11月22日(日):(10) 海野宿(北国街道宿駅/1625開設/伝建地区)、近世の町並みと思っちゃいけない。近代の変容が積み重なっているのをむしろ喜ぶべし。面白い。(11) 小山敬三美術館(村野藤吾/1976)、すごい。わけ分からん。真似しちゃいかん。天童木工のテーブルとスツールが使われているのを発見。(12) ペイネ美術館(軽井沢の夏の家/アントニン・レーモンド/1933/移築)、ル・コルビュジエとの例の話もあるが、あのヴォリューム群の構成は典型的モダニストにはないよなあ、などと思いながら吉阪隆正以降のヴァナキュラー派を思い浮かべる。(13) ギャラリー桜の木(中村拓志/2007)、明治卒の若手。昨年は卒業設計のジュリーをお願いした。このギャラリーは視覚の重層性と構法の重層性ということかな。というわけで軽井沢にて解散。