都市史特論08/江戸の町〜都市集住の世界〜

玉井哲雄先生の『江戸〜失われた都市空間を読む』(平凡社、1986年)はホントに面白い。僕の大好きな本のひとつ。土地と建物が社会を織り込んで形態化されるダイナミクス、そしてそれが無意識の内にのちの都市を決めてしまう微弱で強固な規定力が平易に解き明かされる。都市史の醍醐味が味わえる最高の入門書だと思う。
今日の授業はこの本のダイジェストでした。で、僕は以前にこの本を読んだとき、江戸の町が植民地台湾にも移植されていることに密かに気付いたのであります(いや喋っていますが)。と同時に、19世紀汎アジア的な都市文化に通ずるものが何故江戸では18世紀にはすでに開花しているのかという謎にも。高密な集住社会を型として提供できる不動産パッケージの開発、庇下という名の歩廊などなど。
来週は東京遷都論から明治の東京計画へ。