ベトナム ホーチミンに到着しました。

R0019134 一昨日だか『新建築住宅特集』新年号が届きました。ご存知の方もいると思いますが、5月号から毎月登場してます(コラム=近作訪問とエッセイ=前号感想)。今回は前号の感想を書く番で、コーリン・ロウの「性格と構成 character and composition」(『マニエリスムと近代建築』所収。邦訳は「固有性と構成」ですけど美術史等を見ても「性格」と訳すのが通例です)を読み直して、18世紀末から19世紀にかけてのピクチャレスクと同じように、近年の日本の住宅設計では、建物ごとに固有の「性格 character」を求める趨勢が強まり、建主や目的や敷地環境の一見取るに足らない特徴を手がかりとして前面に持ち出すことでデザイン・マナーの開発が行われ、建物(あるいは設計者)としてはいくぶんか分裂的であっても厭わず、独自の「佇まい」(ピクチャ)をつくり出そうとする傾向が当然になってきた、その結果、従来の規範的形式が粉砕され粒子化しつつあるのだろうと書きました。同号に『住宅10年』をめぐる北山恒・篠原聡子・長谷川豪の鼎談が掲載されていて興味深く読んだのですが、やっぱり、ロウの言葉でいう「粒子化の時代」ですね、いまは。
 さて、もう昨日ということになりますが、23日(木)午前中は大学院の講義「都市史特論」で帝都復興(震災復興)にみる生成原理と計画との抜き差しならぬ関係について話し、それから成田へ向かい、23時半頃(日本の1時半)にホーチミンに到着しました。飛行機のなかではマイク・デイヴィス『スラムの惑星』(明石書店、2010)を読みましたが、いやいや評判通り強烈な本です。都市・建築の物的なあり方(つまりわれわれの建築的ディシプリン)に深く抵触してくるので興奮しつつ読んでます。
 ところで実はベトナムは初です。今回はメンバー4人。さきほど華人街=チョロン地区に面してたつ宿に入り、シャワーしてビール飲みながら、いま窓から撮った写真がこれ(↑)です。こういう街のおよその空間的ファブリック(組成)とその時間的な形成の順序みたいなものはフィールドの感覚でだいたいすぐ分かるわけですけど(ほんとは時間的順序を入れたかたちで理解された組織を「ファブリック」と呼びたい僕は)、明日からは可能なかぎり普通の町屋の中に入らせてもらうことがミッションです。楽しみで寝られん(ウソ、ここんとこあんまり寝てないから爆睡ですたぶん)。