「動く住まい」の世界にふれる

新年度初日の昨日は昼過ぎに市ケ谷へ。御堀端の桜もほぼ満開。某書籍関係の打合せを終えた後、5時より研究室の院生I君と取材。お話をうかがったのは株式会社恩田組の会長・恩田忠彌氏。同社は創業明治24(1891)年、曵家(ひきや)を中心に高い技術力で幅広い仕事をこなす業界屈指の会社だ。日本曵家協会も同社ビル内にある。曵家をめぐる歴史、技術、経済、そして集団などのお話に我々はもう興奮の坩堝であった。継続的な取材の依頼も快諾くださった。恩田さん、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

さて標題の「動く住まい」だが、我々が関心を持っているのは、いわゆるポータビリティ、デマウンタビリティetcを持った構造物のデザインや技術開発の話ではなく、通常は土地に固定されているごく普通の建物(住宅にせよビルにせよ)こそが必要とあらば「動く」ということである。このことに注目することで、都市の動的恒常性(dynamic homeostasis)みたいなものの一端に迫れるはずだと思っているわけだが、昨日の取材ですでに予想を超えて多くの意味深い文脈が浮かび上がってしまった。

最後にさりげなく(わざとらしく)予告。この「動く住まい」のタイトルで雑誌『すまいろん』の2010年夏号特集を責任編集担当しています。多くの専門家の方々にご協力いただき、住まいと都市がちょっと従来とは違う意味でざわざわと動き出すような、そんな記事が並ぶはずです。どうぞお楽しみに。