2009-01-01から1年間の記事一覧

「表現」を超えた模型:澤田研究室の1/10模型制作プロジェクトをのぞく。

前にもこのブログでちらっと紹介したのだが、うちの研究室の斜向いにある構法計画・澤田研究室の4年生の皆さんが吉村順三設計「軽井沢の山荘」の模型をつくっている(年内完成予定)。縮尺は1/10。1/10というのは構法レベルで実際の建築の成り立ちをほぼ再…

世田谷美術館「オルセー美術館展:パリのアールヌーヴォー」

オルセーのアール・ヌーヴォー展を世田谷美術館(内井昭蔵設計・1985)で見る。石山修武氏が世田谷村日記に、図録中のフィリップ・ティエボー Philippe Thiebaut「アール・ヌーヴォー期におけるパリの高級産業 Industrie du luxe a Paris au temps de l'Art …

建築雑誌2009年10月号・特集「東京新地形論」

が、昨日届きました。昭和女子大学杉浦研究室・日本大学山中研究室・国士舘大学南研究室によるフィールドワークを真中に置いて、石川初、宮本佳明、中島直人、藤森照信、それに私の文章が挟み込むかたちの編集になっています。全体に目を通してみて、都市フ…

掲示:講義を聞いてこのサイトを訪れる学生たちへ

ページ右の「categories」のうち、下記が明治大学での講義に関するもの。 classMAH :近代建築史(学部2年-) classWAH :西洋建築史(学部2年-) classUH :都市史特論(大学院) カテゴリーを選んでクリックすれば、該当する記事が表示されます。今のとこ…

9月26日/布野修司先生還暦記念アジア都市建築研究会+祝賀会+2次会+3次会+4次会

昨日、我々の師・布野修司先生の還暦記念行事が京都駅前のキャンパスプラザ京都で行われた。『カンポンの世界』冒頭にあるとおり、布野が東南アジアを歩きはじめたのは1979年。今年でアジア遍歴30周年ということになる。30年。布野が京都大学に来たのは1991…

自分が答えを知らない問題から出発せよ。そして直接関係ない本を読め。

《寄宿先の家の前に雑草と土に覆われた三角形の空き地があった。午後になると、八才から十二才ぐらいの路地裏(カンポン)に住む男の子の一団が、よくそこにサッカーをしに来た。まずコインを投げて裏表を当てる。そして、負けた方はおもむろに半ズボンを脱…

パシコムおじさんとカンポンの世界

「私の家はネ・・・ホテル・インドネシアの隣なんですよ。RUMAH SAYA 'MAH ... DIBELAKANG HOTEL INDONESIA ...」 インドネシアで40年連載されたG.M.スダルタ作の人気漫画「パシコムおじさん」より(この漫画は1979年9月19日付)。 ホテル・インドネシアは日…

澎湖群島調査報告 その4 「松屋旅館/中央旅社」をご紹介

澎湖群島調査は島々を廻る旅だったので色々な宿(ほとんど民宿)に泊まった。そのなかで一番印象深かったのがこの宿。馬公市街の中心部、古い町並みのなか。 僕らは2005年9月にも一度ここ「中央旅社」を訪ねているのだが、そのときは3年前に営業を停止してい…

個人誌『建築と日常』創刊

長島明夫さんが雑誌を出されました。おめでとうございます。春先にお話をうかがって、長島さんのような人は力を発揮しないとだめです、ということと、「日常」という問題意識は絶対いいです、ということだけは申し上げた記憶があります。「日常」はなぜかく…

建築史・建築論研究室、ゼミ生ブログもよろしく。

私どもの研究室のイシグレ君がなかなかよい夏の報告をゼミ生ブログに書いているので紹介します。 aoi-lab(明治大学 建築史・建築論研究室=青井研究室の学生のブログ)9月9日の記事 2009夏:今和次郎/南洋堂N+スクール/瀝青会/澎湖群島/台湾島

建築系ラジオにインタビュー公開。ちょっと(?)舌がもつれてますが。

10+1 websiteの建築系ラジオ r4にて公開されました。7月25日南洋堂N+スクールでお話をした後の懇親会の流れで収録することになったものですから、一仕事終わった後のビールをおいしくいただいた後、さらに赤ワインのグラスをもって南洋堂屋上テラスに移動し…

何か都市を説明する原理が求められている。渋谷学第6回研究会にて。

予告どおり、昨年からの坂倉−渋谷研究の成果に加え、戦後復興期の渋谷で都市組織が生成し、それが自己展開し、あるいは消去整理されながら、やがて稠密化して新陳代謝に入ってゆく、そのプロセスに具体的な見通しをつけてみた。小さな建物の粒(細胞)から、…

渋谷の戦後史1945〜1970、しゃべります。 第6回渋谷学研究会・9月5日(土)国学院大学渋谷キャンパスにて

これです→http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/kouho0300062.html 第6回渋谷学研究会:渋谷の景観変遷をめぐる諸問題 発表1遠藤潤氏(國學院大學研究開発推進機構助教) 「近世から近代における渋谷川・古川流域の信仰史試論」 発表2青井哲人氏(明治大学…

澎湖群島調査報告 その3 土地・空間・技術・・・マトリクスの限定と類型の生成について考える。

吉貝は面白い。また行きたい。というのはこんなことを考えるのがとても楽しいから。 (1) こういう三合院が・・・ (2) こうなったり・・・ (3) こうなったりしている。お分かりですね。(1)の三合院は間口10m前後、奥行13m前後。院(中庭)を囲む三つの建物で…

澎湖群島調査報告 その2 100才の老人に出会うということ。

望安では90歳前後の夫婦に、吉貝では数えで100歳になろうというおじいちゃんに出会った。いつもできるだけ高齢のお年寄りを探しているが、普通は1930年前後生まれ、80歳前後という方に出会うだけでもそれなりに幸運なのだから、100歳となると、うまく話さえ…

澎湖群島調査報告 その1 今年は海の世界でした。

昨夜帰国。今回は、台風の影響で調査期間をかなり短縮せざるをえなくなり、調査途中で媽祖群島はあきらめることとし、かわりに澎湖群島の主要な島々をきっちりまわることにした。これは結果的にはよい判断だったと思う。採集データの密度もあがり、これまで…

愛車と山羊。

8月11日:七美島にて、愛車と山羊の一枚。 島に着いて分かったのだがレンタカーがない。探してと頼んだら、なぜか黄色いタクシー(たぶん台湾か澎湖本島で走ってたやつを持って来た、島で唯一のタクシー)を借りることになって、僕が運転した。おんぼろで助…

もし私が犬ならばここに小便できる。

よほど困っているのであろう、立ち小便に。しかしこのウィット、台湾人だなあ。離島調査は8月10〜18日で後ろ髪引かれつつも終了。結局、台風で期間短縮を余儀なくされ、また媽祖は飛行機が飛ぶかどうかがその日になってみなければ分からないというのでキャン…

台湾、歴史的な災害。

日本でも連日報道されていると思うが、台湾中南部が台風および続く西南季節風による大豪雨にみまわれている。3日間ほどで2000〜2700mm、平均年間降雨量を超える見込み。いまだ全貌は明らかでないが、多くの人命も失われている。歴史的な災害になると言われ…

『彰化一九〇六』(アセテート)中文版につき、出版社と打合せ

20090805 Wed. 台北縣新店市にある大家出版を訪ねる。大家出版は、遠足文化事業有限公司傘下の小さな出版組織体のひとつ。編集室は引越をしたばかりでまだ看板も出ていないが、入ってびっくりそれなりに大きなフロアにいくつかの出版組織体がそれぞれの場所…

類似製品にも苛烈な生存競争が・・・。

お見事。サイズはひとまわりコンパクトにしてあるけど、OSから何から完璧なコピーで、safariなどのアプリケーションもきちんと入っている。今日は某不動産会社に勤める某氏と色々な話をして台北と東京の都市としての性格等々についても考えさせられる面白い…

台湾到着。富士山も見えて幸先いいんじゃない。

写真は富士山ですが、昨日台北に着きました(紅い日の丸とフジヤマの取り合わせになっているが深読みしないよう注意)。 しかしまあ暑い。サウナみたい。毎回そうだけど慣れるまで2〜3日はこのうだるような感じが続く、僕の場合。とくに台北は湿度が高い。南…

研究室の前期打ち上げ

2009.07.30 研究室メンバーを招いて我家で打ち上げ。 前期はかなりタフだったと思うがそれなりに力はついたはず。研究室も元気になってきたし。まずはお疲れ。 夏はそれぞれにしっかり充電すべし(得るべきものを貪欲に得よという意味)。 いま進めつつある…

トウキョウ建築コレクションの本できる。

トウキョウ建築コレクション2009をまとめた一冊。ざっとページをめくってみたたが、新企画もあり、また応募大学の幅が拡がり、ぐっと定着してきた感がありますね。今後も是非がんばってください。さて、今回の“2009”には昨年明治に来てほぼ出会ったその場で…

南洋堂N+スクール/『彰化』台湾版/建築系ラジオなどなど

まず何と言っても南洋堂の店主AさんとSさん(神戸芸工大出身)、司会をしていただいた松田達さん、コメントをくださった田路貴浩・南泰裕のお二方、嬉しい感想をくださった鹿島出版会のKさん、それからぽむ企画のHさん・Tさん(お久しぶり)・・・皆さん有り…

南洋堂でしゃべります(もう直前ですが)

南洋堂 N+スクール vol.13 青井哲人「台湾都市の解剖学〜私のフィールドワークから〜」 2009年7月25日(土) 19:30〜21:00 EditorNさん、EditorKさんが売り子で参加されるそうです(←意味不明の人はこちらを参照ください)。Nさん、Kさんも来られるなら、ア…

感銘を受けた一冊。戦略的概念としてのバラックをめぐって。

田中傑『帝都復興と生活空間〜関東大震災後の市街地形成の論理〜』(東京大学出版会、2006) 焦土と化した東京にいかにして生活空間が立ち現れ、市街地として整序されてゆくのか。この疑問に、入手可能なあらゆる史資料を駆使し、都市工学的・社会工学的基礎…

すまいろん2009夏号・特集「継承の知恵:保存・再生・無意識」

前に早稲田大学にて1年生の皆さんの授業を兼ねて行われた対論(大嶋信道×中谷礼仁、梶山秀一郎×青井哲人)ならびにこれと別に行われた対論(前野堯×清水重敦)が掲載された『すまいろん』夏号ができあがりました。 いま全部に目を通してみて思いました。是…

建築家坂倉準三展 開催記念シンポジウム・7月12日(日)・国際文化会館にて

本日建築家坂倉準三展 開催記念シンポジウムが開かれた。とても面白かったし、そもそも坂倉を公開の場で論じる機会そのものがこれまでなかったのだから大いに意義のあるシンポだったに違いない。しかし全体に何かすっきりしないものが残る不思議な後味。語れ…

思いもよらぬリンケージ〜海から陸へ〜

先日の広島行のなかで、谷口吉生設計の広島市環境局中工場(2004年竣工)を見た。ゴミ処理工場。巨大な機械がガラスのアトリウムの両側に収められて、圧倒的に美しいのだが音も匂いもしない。いやそれは仕方ないのだろうが、やはり美学の優位は僕には肌が合…