建築雑誌2009年10月号・特集「東京新地形論」

建築雑誌200910が、昨日届きました。昭和女子大学杉浦研究室・日本大学山中研究室・国士舘大学南研究室によるフィールドワークを真中に置いて、石川初、宮本佳明、中島直人、藤森照信、それに私の文章が挟み込むかたちの編集になっています。全体に目を通してみて、都市フィールドワークのあり方(つまりは都市への視線と、身体の関わらせ方)が歴史的にどう変遷してきたか、今日のそれはどう特徴づけられるか、そんなことを考えてみる必要があるなと思いました。たとえば60年代はセスナとかで上空から都市を一挙に捉えるのが大きな流れだったが、後期デザインサーヴェイは這いつくばるように都市に触れようとした。では今日の私たちは? 『10+1』でのいくつかの特集なども含めてかなり特徴が浮かぶはず。巻頭のタモリのインタビューも必読。

私は下記を寄稿。
青井哲人生物学者のように東京を語れたら」(p.24)
これ(↑)は短文ですが、前の記事で紹介した布野修司先生還暦記念論文集(私家版)では60枚超(2万5千字程度)で理論面での展開を試みています。僕のフォーカスは都市組織(urban fabric, urban tissue)のレベル。つまり建築を「細胞」と見た場合、その細胞の凝集構造とともに細胞の内的構造をも連続的にひとつの視野で観察するようなスケールこそが、われわれ建築に携わる者の目があわせるべきピントだと思っている。そして、それが「生きている」ということをいかに論理的に語るか。つまり都市組織は通常は共時的な構造として取り出されておしまいなのだが、それを微分的な時間において動態として理論化しえたときにはじめて、「都市組織基礎論」が確立すると言えるのではないか。様々な入力に対するシステム的な反応パタンを組み込んでいるからこそ、都市は何とか破綻なく変化しながら維持されるのだ。ではどう論じるか、というのが私たちの研究室の(ひとつの)課題です。
(*言い訳めいた補足:建築系ラジオのインタビューを受けた時、南泰裕さんに、なぜそれほど街の持続とか変化とかのディアクロニックな観察にこだわるのかと尋ねられて、ちょっとだけ背景の説明をしようと思ったら、喋っているうちに質問への回答を忘れてしまい、まともに答えていません。コレ、あとで寝れないくらい後悔した。いやちゃんと考えてますし、いずれきちんとしたかたちにまとめます。)