個人誌『建築と日常』創刊

0_cover長島明夫さん雑誌を出されました。おめでとうございます。春先にお話をうかがって、長島さんのような人は力を発揮しないとだめです、ということと、「日常」という問題意識は絶対いいです、ということだけは申し上げた記憶があります。

「日常」はなぜかくもひっそりと破綻なく不断に形成されてしまうのか。誰がつくっているんだろうか。やっぱり見えない小人ホムンクルスがいるのですヨ、きっと、「日常」にこそ。でも文学的というのかな、ふんわりと比喩に包むのでもなく、ぐいと手をつっこんで直接彼を掴まえるのでもなく、彼が動かしているに違いないモノやコトのありようを即物的に、ザラザラ、ゴツゴツが分かるような解像感を大事にしながら、何ていうかなぞるような手つきで接近しないと、ホムンクルスはその影さえも見せてくれないのじゃないかと僕は思う。

同誌所載の香山壽夫、坂本一成のインタビューは力作です。お二人がどういう回路で「彼」の影に触れているのかが分かる。編集者自身による注釈+写真も、他の雑誌にはたぶんできない、やはりなぞるような接近が秀逸です(とくに坂本先生の記事)。

実は、長島さんからアンケート形式の記事を依頼されたのですが果たせず・・・ごめんなさい。書いてたら創刊ゼロ号の扉の一番上(伊東豊雄さんの上)に名前出たのになあ、というのは冗談で、実は「建築にしかできないこと」というお題が僕には遠く思えてしまって、書けなかったのです。何故だろう。考えてみます。>長島さん