2009-01-01から1年間の記事一覧

坂倉展・汐留ミュージアムでも開幕しました。

お知らせが遅くなりましたが鎌倉と平行二部構成での開催となっている「建築家坂倉準三展」の「住宅・家具・デザイン」部門がパナソニック電工汐留ミュージアムではじまっています。鎌倉が公共建築や社屋から都市計画までの広いレンジを対象としているのに対…

都市・集住体・不法占拠

先日、広島の基町長寿園高層アパートを訪ねた。大高正人の設計になる鉄骨とプレキャストパーツの集合体は思った以上に時代の空気をぎゅっと封じ込めた濃密な建物で印象深かった。これを紹介した『新建築』1973年5月号には石井和紘が「ルポルタージュ 基町旋…

Flickrの写真が生き返ってウレシイ。

最近、撮った写真はすべてFlickrにアップする習慣にしているのだが、アップされた写真が何だか冴えない。すべてではないが色がすーっと抜けてしまったような写真が多いのだ。僕はわりと色がこってりのった写真が好きなので、見れば見るほど気分が萎える。そ…

「自然」の科学・技術・行政という屈折したモダニズムはいかにして産み出されたのか。

国学院大学AMC棟にて行われた「第5回 渋谷学研究会」に参加した。 第5回渋谷学研究会「近現代東京の「鎮守の森」をめぐる地域史―多摩と代々木の事例から―」 発表1:畔上直樹氏(首都大学東京/東京都立大学助教) 「明治・大正期多摩における「鎮守の森」…

広島・呉を廻る。

2009年6月19(金)〜21日(日)、研究室の学生たちと広島・呉へ(前日18日夜に広島入り)。 1日目:京橋会館(広島県住宅供給公社, 1954)/呉市庁舎(坂倉準三, 1962)/音戸市民センター(隈研吾, 2008)/呉市街 2日目:広島市西消防署(山本理顕, 2000)/広島市…

最近、身近なところで注目していること。

・斜向いの研究室(構法計画の澤田誠二先生の研究室)で、4年生の学生さんたちが縮尺1/10でつくっている軽井沢の山荘(もちろん吉村順三設計)。なんと、木拾い、製材発注といったところから社会に接続するかたちでやっている。間柱とか垂木とかになると1/10…

震災の痕跡を。

笠原一人+寺田匡宏 編著『記憶表現論』(昭和堂、2009)をお送りいただく(長いことお会いしていない旧友の笠原さんから。謝謝!)。神戸での疎外的被災(とでもいうべき)体験以後、過去の事件の「記憶」とその「表現」をめぐって、研究フォーラム、展示会…

獄舎的なるもの

少し前に、伊東豊雄の「座・高円寺」をみた。すでに学生たちはブログに感想を書いているが、僕は何といってもむかし書いた伊東豊雄論(『建築思潮』05, 199703)のことを思い出して妙に感慨深かった。せんだいメディアテークのコンペが終わった頃、1996年夏…

アヒルのその後。

R・ヴェンチューリ+D・スコット・ブラウン+S・アイゼナワー著/石井和紘+伊藤公文訳『ラスベガス』鹿島出版会、1978年(原著:Robert Venturi + Denise Scott Brown + Steven Izenour, "Learning from Las Vegas", MIT Press, 1972年刊)の最重要キーワ…

都市生成・持続の実験場〜築地市場について〜

こういう記事を書きました。 青井哲人「都市生成・持続の実験場「築地市場」」(日刊建設通信新聞2009年5月28日付)昨年度、研究室の宮戸明香という院生がまとめた修士論文は、魅力的なドキュメントに満ちた、しかし非常にきっちりと築地仲卸売場の原理を読…

ヒョウタンツギ

と言うんです、これ。手塚治虫の例の。 写真は代官山駅近くで。最近、小学生の頃に読んだ『ブッダ』『火の鳥』を息子が学校の図書館で借りて読んでるとかいうので懐かしくなってとりあえずブッダの文庫版12巻セットをポチッと衝動買いして一気に読んだ。きわ…

建築家 坂倉準三展 はじまる:神奈川県立近代美術館[鎌倉]:2009年5月30日〜9月6日

29日(金)の内覧会+レセプションは盛大であったとのこと。実は(本当に残念でならないのだが)僕は職場の事情でやむなく欠席。高階秀爾・槇文彦・菊竹清訓・二川幸夫といった錚々たる人たちがいたと、代理出席のM君が興奮気味のメールをくれた。 で、今日5…

アヒル・ヴァナキュラー・テイストといったところがキーワードでしょうか:高円寺にBUILDING Kを訪ねる。

昨日(20090524)、高円寺・阿佐ヶ谷を学生たちと歩いたのだが、そのプログラムのなかで、藤村龍至設計のBUILDING K(2008)を設計者本人の案内で見学させていただいた。かなり直前になって連絡するという失礼なお願いだったにもかかわらず、多忙をおして快…

角南神学・検証の手がかりとなる2冊

5月11日のエントリーでふれた2冊を読了したので感想のようなものを書きたい。いずれも1980年に95才で逝去する前に書かれた角南の遺稿を、生前の弟子である西本輝六氏の監修により2巻に編み直したもの。 ・角南隆『万物は生きている』(パレード、2006) ・角…

photographers' gallery press no.8 田本研造:北海道開拓の写真群

写真史の倉石信乃先生が、僕の神社の本を引用したので、という手紙付きでお送り下さった。倉石先生は僕のつとめている大学の理工学研究科・新領域創造専攻・ディジタルコンテンツ系で教えておられる。 photographers' gallery press no.8←内容はこちら。 pho…

いよいよです。建築家坂倉準三展 神奈川県立近代美術館・鎌倉 2009年5月30日より

美術館のページはここからどうぞ

尋常ならざる本が2冊届く。

休講・連休などで3週間ぶりに前任地の人間環境大学へ。非常勤講師控室のメールボックスに発見したある包みを開けてみたところ、何と「角南隆」著の本が2冊入っているではないか。 角南隆(1887-1980)という人は、昭和初期から日本の神社造営の頂点に君臨し…

建物が単なる〈充填物〉であるとは! --- Colin Rowe, "Collage City" 1978

建物が単なる〈充填物〉であるとは! これは嘆かわしいほど受け身で、あまりに経験主義的な考えのように受け止めることもできる ---- しかし必ずしもそうである必要はない。(C・ロウ+F・コッター『コラージュ・シティ』1978/鹿島出版会、1992 p.128) …

いろいろ

先週金曜日、青山の岡本太郎記念館に行ってきた。2年生の最初の設計課題の敷地にすることとなったため(住宅の設計)。受付のおねえさんに明治の建築学科の学生さんがたくさんお見えになってますよ、ありがとうございますと御礼を言われ恐縮。いやこちらこそ…

住総研・対論 梶山秀一郎さんらと

20090423 Thu. 大学にて近代建築史の授業を終えたあと、住総研シンポジウム「継承の知恵−保存・再生・無意識−」に行ってきた。 第78回 住総研「すまいろん」夏号 シンポジウム 対論I部:大嶋信道(建築家)/中谷礼仁(早稲田大学) 対論II部:梶山秀一郎(…

鈴木成文先生よりハガキが届く。

お宅を有形登録文化財とする手続きをいよいよ実際に進められる由。僕のブログ中に、2月22日に先生宅の餅つきにお邪魔させていただいた折、帰り際に撮った写真があるのだが、たまたまそれを先生がご覧になって、利用状況の例を示す写真として申請に使いたいと…

書評:西澤泰彦著『日本植民地建築論』

西澤先生のご研究の総括ともいうべき御著書につき書評を書かせていただきました。このほど掲載誌『建築史学』(2009年春号)が刊行となりましたのでご覧頂ければ幸いです。 書誌情報:西澤泰彦著『日本植民地建築論』名古屋大学出版会、2009年 書きながら再…

新メンバーにて始動。

lab

20090417 Thu. 2009年度の最初の研究室ミーティング。こっちで個人で進める研究の報告+討議。もうひとつ水曜のゼミでは60-70年代のいくつかの都市論を読む。まずは布野修司『戦後建築論ノート』の「建築の解体」から入って、磯崎新、長谷川堯、ヴェンチュー…

さらにつづき。

14日はすべての仕事を終えて、気分よく寧夏夜市にて妻と妻の妹と3人で飲む。うちの奥さんはこの1週間ほんとによく活躍してくれたので、3日前の誕生日を祝いつつ、うまい台菜とビールでねぎらう。 1週間ぶりに肩の荷が下りたわれわれの前をひっきりなしに…

つづき。

台湾報告のつづきです。4月13日は台南より台北へ移動。夜、呉明修先生との会食。実は昨年末だったか、教授会中に『帝国與便所』っていう台湾で出版された日本植民地期のトイレ史の本を読んでいたら、横に座っていた坂上先生(建築設備分野を担当されている先…

台湾のみなさま、東アジア建築文化国際会議、大成功おめでとうございます。

4月10日(金)、陣内秀信先生の講演で幕を開けた国際会議「WhoseEA2009Tainan」が、4月12日(日)のHeng Chye Kiang(王才強/シンガポール国立大学)の講演をもって大成功のうちに閉幕しました。ほとんど完璧にオーガナイズされた、素晴らしい会議だったと…

いろいろ。

4月9日(木)〜15日(水)、台湾に行ってきます。前回2006年暮れに京都でやった「東アジア建築文化国際会議」を今度は台南でやるのです。陣内秀信先生・伊藤毅先生とともに顧問委員などという肩書きももらっていますのできちんと外交してきます。自分の発表…

実戦的リアリズムという美学

都市デザイン研究体という伝説の運動体については皆さんご存知のはず。最近もこのブログでちょっと触れたけれど、『日本の都市空間』(彰国社、1968)の姉妹編ともいうべき『現代の都市デザイン』(彰国社、1969)から2つの図版を。左、どこか分かりますか…

卒業・修了おめでとう。

lab

昨日(3月26日)、卒業式が行われました。武道館でのセレモニーに続き、駿河台キャンパスの教室に別れて学科別の学位授与式。つづいて新宿にて研究室メンバーと盛り上がる。例によって研究室飲み会には家族も参加(人環大時代からのスタイル)。 明治に来て…

ついに完成しました。

いやあ、お疲れさま。 研究室のメンバー(3〜4年生、M1)と助っ人の後輩たちが頑張ってくれていましたが、今日夜10時頃なんとか完成にこぎつけました。模型制作にあたり様々なかたちでご協力いただいた皆様ありがとうございました。 ブログでは小さい写真だ…