坂倉展・汐留ミュージアムでも開幕しました。

sakakura_shio_050お知らせが遅くなりましたが鎌倉と平行二部構成での開催となっている「建築家坂倉準三展」の「住宅・家具・デザイン」部門がパナソニック電工汐留ミュージアムではじまっています。鎌倉が公共建築や社屋から都市計画までの広いレンジを対象としているのに対して、こちらはかなりフォーカスが絞られているのでコンパクトな会場で住宅や家具デザイン等の系譜的展開を濃密に辿ることができると思います。

それから、定員に達したため受付終了となっていますが、7月12日(日)に国際文化会館(坂倉準三・前川國男吉村順三設計/1955竣工)にて坂倉準三展開催記念シンポジウムが開かれます。午前の部では鈴木博之司会で高階秀爾磯崎新が坂倉を語り、午後は内藤廣の講演の後、坂倉展の実質的なオーガナイザーである萬代さん・北村さんと、私を含む数名の研究者が今後ありうべき坂倉論のキー・コンセプトや解かれるべき問題を出し合うことになると思います。

さて、私は鎌倉の方に主に関わっていたのですが、実は汐留にもちょっとだけ協力しています。1941年に東京・大阪の高島屋で開催された「選択・伝統・創造」展は、シャルロット・ペリアンと坂倉準三が企画・設計した日本の工芸デザインを中心とした展覧会なのですが、ペリアンは民芸運動の指導者のひとりである河井寛次郎(坂倉の日本館がグランプリを獲った1937年のパリ万博で彼の壺もグランプリを獲っている)に会って意気投合し、河井が関心を寄せていた竹工の例のひとつとして台湾のヴァナキュラーなスツールを展示しているのです。で、汐留の大村さんに「買って来てもらえませんか!」と頼まれて、4月の国際会議の合間に家内と会場を抜け出して台南市内で調達したのが航空便で汐留に運ばれて、今回“参考出品”ということにあいなったという次第。見て頂ければ分かりますが、立てれば大人の座るスツール、横にすると子供がすっぽり入るテーブル付の椅子になる。ただし左のモノクロ写真(「選択・伝統・創造」展のカタログ中のもの)に見えるとおり、当時出品されたのはテーブルではなくて輪っかを通した玩具付きのタイプで、その分プロポーションが異なっています。いずれにせよ台湾ではたいへんポピュラーなもの。ペリアンはこれのどこが気に入ったのかな。