神社漬けの2日間:歴史学会月例会報告/明治神宮鎮座90年連続セミナー/明治神宮史研究会

28日(金)は「ティンバライズ建築展」を見たその足で本郷へ移動し、歴史学会月例会へ。今年の同会は「都市と自然環境」という年間テーマを掲げておられるそうで、5月の月例会は私にお声をかけていただいた次第。「都市と神社境内の近代:「自然」が析出されるまで」という題で1時間ほど話させていただいた。「自然」という観念の歴史にもかかわる問題なのでけっこう深くて難しい。懇親会盛り上がって帰宅。
29日(土)は明治神宮へ。まず13時30分スタートの明治神宮鎮座90周年連続セミナー第2回・藤岡洋保「伝統と近代化の体現:伊東忠太佐野利器」(於:社務所講堂)を拝聴。それから境内を歩いて国際神道文化研究所に会場を移し、第4回明治神宮史研究会(明治神宮に関心を寄せる諸分野のアラフォー研究者の集まり?)。今回から東大都市工の永瀬節治さんにも加わっていただくことに。近代の神社境内・参道などの空間の変容を、「参詣」・「地域振興」といった視角から追った博士学位論文をまとめられた。僕は明治神宮の建築についてちょっと重要なことに思い至ったのでそのことを報告した。つまり近代創建神社としてははじめて国民的規模で大真面目な議論が行われ、あげくに三間社流造という「特徴のない様式」が選び取られたということの意味。議論されたのは様式の選択だったが、結果は正確にいえば様式が選択されたのではなくて、様式論の無効を確認したようなものかもしれない。でもまあ深めないとお話にならんわな。研究会はいつもどおり濃密な討議が展開され、終わってみれば何と22時過ぎ。建物を出ると、あの常緑広葉樹林の何と深く暗いこと。みなさん代々木方面に帰られるというので独り原宿方面へと境内を歩くがいかにも心細い。山手線がちらちら見えるのが救い。しかし小動物がカサカサ音を立てるたびに震え上がる。ともあれ漆黒の闇のような明治神宮の森を歩くのは得難い経験であった。
というわけで神社漬けの2日間でもうヘロヘロ。日曜日は使い物にならない重い肉だけの私になりました。