近代建築史03/リヴァイヴァリズムとネーション

0424
今回は「様式の最盛」こそが「様式の凋落」であった19世紀の逆説をみる。前回はクラシシズム系に絞って14c〜19cの様式展開が大きく円を描いてさらなる源泉へと遡った(新古典主義)ところまでを描いたが、それにもう一方のゴシック・リヴァイヴァイル系の隆盛を加える。さらにエジプト、ムデハール・・・インド、中国、日本にいたる遠い様式までをも、考古学的知識を含めて飲み込んでいくリヴァイヴァリズムの状況が意味するものとは。

まとめ
(1) 従来型パトロネージ(カトリック、貴族)の衰退により、建築家はより不定形な市民or国民に対して自己の正当性をつねに主張しつづけねばならなくなった。
(2) 勃興するネーション・ステートがそのアイデンティティの様式的表象を要求し、リヴァイヴァリズムは相対主義的な世界観を描き出していった。
(3) 様式はますます選択・交換・折衷可能なものとなり、「表層」という窮屈なあり方に追いやられる。言い換えると、建築がより基底的な部分とより表層的な部分とに分離されていく。

*何となく分かると思うけど、鈴木博之『建築の世紀末』を再読中。こんな本書ける30代前半の青年なんて、想像したくない(ほどスゴイ)。