水谷俊博さん講演会/TKC2013で森山が修論発表

20130228.Thu. 水谷俊博さんを生田キャンパスにお迎えして研究室主催の講演会を開いた。水谷さんは水谷俊博建築設計事務所武蔵野大学環境学部環境学科住環境専攻・都市環境専攻水谷研究室を主宰しておられる。布野研の後輩、それと水谷研から野口君が私たちの研究室に仲間入りした、というような縁がある。お話はコンペを勝ち取って間もなく竣工を迎えようとする「アーツ前橋」を、水谷さんのキー概念に沿って分解しつつ再構成するもので、レクチャーの構成そのものが様々なリズムや旋律を重ね合わせ撚り合せた楽譜のようだった。アーツ前橋中心市街の商業ビルを市立美術館にコンバージョンするプロジェクト。既存のRC躯体の上に、緩やかな固有性をもったひとつひとつの空間ヴォリュームが連接しながら螺旋状に旋回する美術館の構成が重ねられ、随所にそのアーティキュレーションとギャップとが現れるだけでなく、そこに立ち現れる空間を純化してしまわないよう、あるいは強いヒエラルキーの下に統合してしまわないように、丁寧な配慮のもとに選択された仕上げの差異や家具・設備のバリエーションをさらに複雑な入れ子関係で被せることによって、むしろ複合性をいっそう増幅させるように設計されている。その複合性が市民グループの活動と美術館サイドの仕掛けを包容し、さらに増幅させ、街にまで跨がる大小の入れ子関係をつくり出していく、そんな姿を想像した。引き続き飲み会でも学生を交えてそんな議論で盛り上がる。きっと竣工後にもっと注目されると思うよ。やっぱり重要なのは社会のあり方をデザインすることで、それをモノや空間としてどう提起し定着できるのか、ってことだね。水谷さん見学会も是非よろしく!→研究室ブログ

20130301.Fri. 今年は残念ながら予定がびっしり詰まってしまってトウキョウ建築コレクションには行けなかったけど、論文展で当研究室の森山敦子が発表した。昭和三陸津波(1933)の復興が、日本の社会政策の転換点と重なっており、実際、当時の新官僚たちが構想した組合原理による地域社会の自力更正と社会統治の実験台とされたことを示す画期的な研究。今日綻びが露わになってきた20世紀後半の広義の社会システムの起点であり、その意図と政策の実態を示すことは、今日の構造を歴史的に相対化し、その乗り越えにつながるひとつひとつの実践を意味付けることにつながると思う。 →研究室ブログ