西洋建築史11/ルネサンスとバロック〜類型的思考による〜

やはりノドの具合が万全でなく、90分講義は危険なので、今日は授業時間内で小課題を出すことにした。
おおむね16世紀と17世紀の実例のなかから、身廊部、ドーム見上げ、ファサードの写真を対になるように与え、その表現上の特質について差異を摘出して対比的に規定せよというもの。それから、これら3つの対に加えて、デューラーレンブラントの習作も並べておく。もちろんヴェルフリンからの引用。つまりルネサンスバロックの志向性の対比を自分の眼と言葉で構築してみようという課題。比較的分かりやすい題材が与えられている時点でかなり仕組まれてはいるわけだが。さて皆さんはヴェルフリンやフランクルに迫れるか、お手並み拝見。
とはいえ実はそれほど明るい見通しがあったわけではなく、むしろ概して近年の学生は言葉を使うことにかなり弱くなっていると感じるので、それを具体的に測定しておきたいという意図もある。先日も次年度の研究室配属を決めるための面接があったのだが、僕が潜在的な可能性を感じ取ることができても、本人が言葉ではほとんど表現できない場合が多い。建築史の授業はその辺を鍛える機能も持ち合わせていなければならないと思う。