台北にて都市インフラの一端を覗き込む。


台北市内を歩いていたら、足下に、何だか無数のカラフルな線が花みたいに咲いているのに目がとまり、思わず立ち止まってカメラを構えた。で、「すみません、これ何の線ですか」と聞くと、電話であると。彼は「中華電信」(日本ならNTT)のおじさんだった。「一般家庭用の電話線だよ。これひとつで600回線が束になっているんだ」。何でもこのあたりのオフィスビルの需要を見込んで光ファイバーを繋いだのだとか。詳しいことは分からんが、朝からずっとやってたみたいで、僕らが目撃したのは仕上げの瞬間であった。
しかし彼はいま何をしようとしているのか。


モジュラー・ジャックで繋がれた600本の線を、まずは透明のラップでぐるぐる巻き、それをビニールテープでとめて終わりかと思いきや、次に黒いシートを巻き付け、金属製ジッパーできゅっととめたかと思うと、おもむろにガス・バーナーで焼きはじめたではないか。するとこのシート、みるみる溶けて縮み、ピタッとケーブルの隙間を閉じて圧着してしまった。これでもう水が入ることはない。






よく見ると、近くに今朝取り外されたと思しきジッパーが置かれていた。なるほど、このピットを開け、ジッパー、シート、テープ、ラップを外せば、またジャックの繋ぎ換え作業が出来るというわけだ。
我々の後ろには近所の何でも評論家的なおじさんがブツブツと工事の仕方について批評している。だって、面白いですもんねえ。