全体ミーティング+雑談(黒沢隆のこと)

0703
4年生。K君のテーマはモデュロールローカライズド。モデュラー・コーディネーションの線ではものすごい量のモデュール開発の歴史がある。しかしいったいモデュールが設計にクリティカルに効いてくるのはどの局面においてであり、またどのようにしてなのかを考える必要あり。そこでローカライズの議論が深められればよいのだが。Sさんはソウル宗廟前に戦後つくられたなかなか激しいショッピング・コンプレクスのプロジェクトを紹介してくれた。しかもキムスグン(金寿根)の設計だという(お世辞にもよい設計とは言えないが、たぶんキムスグンは思うように腕を振るえなかったのだろう)。しかしそれよりそのエリアの都市組織 (urban fabric)の恐るべき重合と濃すぎる都市的文脈がGoogleMapだけでもいやというほど読み取れて思わず感嘆の声をあげてしまった。
M2。築地のMさんは心配なし。パワフルだしセンスもよいから突き進めだな。コレ、いずれは本になると思うよ。ポスト・メタボリズム試論のHさん。連想ゲームが止まらなくなっていて危険なので、えいやあっと5本の柱に整理してみる(割とうまくいった気がする)。実は黒沢隆『個室群住居論』(住まいの図書館出版局)を読むと、黒川紀章がカプセルなどと騒いでおるが云々とある。黒沢さん、建築計画学も家族社会学も役に立たんからレヴィ・ストロースの「親族の基本構造」を読んだり、ほ乳動物の進化を勉強したりしたとか書いていて感動的。彼の社会理論を読むと、メタボリズムの社会構想のいい加減さ(茶室カプセルとかあったり、便宜的なのね)も見えてくる。でもたしかにメタボリズムと混同されたに違いなく、端々に意識してたらしいことがうかがえるのも面白い。それにしても軸がブレない本で、射程は数万年(もっとか)と長いのだが、一方では戦後建築の問題を考える人の必読書。