東大村松研究室の「ぼくらはまちの探検隊 in 笹塚」に審査員として参加。

0704
面白かった。
小学生が隊員。各チームに隊長として大学院生がつく。村松伸さんは「村松博士」、僕は今日の発表会だけだけど「青井博士」になったのでありました。あとでまた紹介するけど、今日もう一人の審査員をつとめた岡野校長がとてもエライ(僕なんかが言うのもおかしいですが)。


しかしこれは小学生にとっても院生にとってもよい勉強になるに違いない。どっちもすぐには勉強の意味には気づけないかもしれないけど、じわじわ再帰的に効くね、これは。で、海外フィールドワークに出ても学生達の研究の質がちょっと変わったりするんじゃないですかと村松博士にきいてみると、「だってそのためにやってるんだよ」って即答。むろん子供と地域の関係から立て直さないとダメというのがホントの目的だと思うけど、もうひとつは調査研究で梗塞しがちな脳の血行をよくするのが狙いなんだね。そりゃ、海外で拾ってきたネタを自国で発表するだけってのは不健全。何かがダメだからどこか他所(「アジア」とか)から知恵もらうという一方向的な関係ももうアナクロ。いろんなことをもっとイーブンで双方向的にしないとおかしいとたしかに僕も思う。

「まちのリテラシー」教育については僕も前にいた人間環境大学ではそれなりに意識的に開発してきたつもり。といっても相手は大学生ですけどね。専門教育を受けていない学生たちをフィールドへ放り出して何か持って帰れるようにすること。それから講義のなかでも学生自らが頭を動かしてまちと自分をつなぐ回路を段階的に構築してゆけるようにすること。で、結局はこれは「問い」の開発に尽きる。よい問題こそがリテラシーを育む。で、解答を与えたときにオープンエンドになるようにすることもなかなか難しい。


探検隊ではこの問題を「指令」という。今回の博士からの指令は3つ「まちのタイムカプセルを探せ」「まちの人体模型をつくれ」「まちを味わえ」。いやあ、お見事。見応えありました。強いて言えばちょっと出来過ぎというか、きわめて分析的で、しかも体系的な解答方法が提出されていて、「探検隊」もやや爛熟気味かなと思わないではなかった。

1ヶ月ほど前の中谷礼仁さんのブログに「in 上原」に審査員で参加したという記事があった。上原小学校がこの「探検隊」をはじめた学校なのだ(こちらを参照)。今日岡野校長とお話していたら、そもそも探検隊の発端は、4年前にとつぜん東大の村松と名乗る不審な男から入った一本の電話に遡るのだそうな。そう、岡野先生は前に上原におられて、探検隊のプログラムを博士とともにつくり、この4月に笹塚に転任されて再びそれを実践されているのだ。学校をつくる、変えるためのツールのひとつとして。先生は実行と継続の人だ。

探検隊は通常は9回(9日)とかでやるんだけど、今回の笹塚は実験的な3日間バージョン。「出来過ぎ」の印象はきっと短期間だからこそ隊長(院生)の皆さんが頑張った結果なのかもしれない(もちろん子供たちも頑張ってた)。「爛熟気味」は4年間の「指令開発」の継続的蓄積のなせるわざか。僕としてはもっと荒っぽくてもよいんじゃとか、価値観よりも発見性が大事なんじゃないかと思ったりもした。今後の展開も楽しみ。

しかし繰り返すが面白かった。そうそう、隊長さんたちは村松研の院生ばかりではなく、他大学から集まってきた人たちも多い。それだけプログラムにも村松博士にも魅力があるということだ。

お役に立ったか分かりませんが、もしよければまた呼んでください、村松博士。