謹賀新年2013 本年もよろしくお願いいたします。

nengajo_2013*皆様どんな新年をお迎えでしょうか。

晦日の昨夜は家内の実家(台北)におりました。NHKの紅白を流すTVの前に家族が集まっていました。わたしは30-31日の二日間は急ぎの原稿をふたつ書いていまして、ようやくそれらをメールで送った頃に、真っ黒なTV画面の中心に美輪明宏が映っていたんです。素晴らしすぎて涙が出ました。三輪さんは普段まとっている一切の装飾をそぎおとした黒い衣装と黒い短髪の出で立ちで、声を震わせながら、身体を大きく幾何学的に動かしたかと思えば直立するといった未来派的な動きを、民俗的なそれと交わらせながら、全身の重みを360度の方向に発散していました。背景の黒に溶け込みながら、むしろ世界全体に滲み出していくような凄みある芸の力をみました。
歌は「ヨイトマケの唄」。1964年発表、1966年発売。その後TVでは封印されていた時期もある。野暮ったくいえばプロレタリアのための歌で、きっと自身のシャンソンへの複雑な批判もこめられた歌に違いないと想像します。しかし、土方で働く母の姿を見てしまい衝撃に打たれた少年は、なぜエンジニアになるのだろうか。三輪さんはなぜそういう物語を炭鉱労働者たちの前で歌ったのだろうか。とにかく、恥ずかしながらわたしはこの歌のことも、三輪さんが長崎出身で原爆の経験者であることも知りませんでした。

2012年はいろんな意味で全力を出しているつもりなのに自分自身に歯がゆい思いをした1年でした。知らないことが多すぎるし、ごまかしが多すぎるし、無数の短い矢のような時間に翻弄されすぎています。2013年は青臭いことももう一回やり直す再出発の年にしたいと思っていますので、みなさまご批判のほどよろしくお願いします。