阪神間の神社を巡る。社殿・境内の20世紀を考えるケーススタディ。

7月末に神戸に行ってきた。神社の社殿・境内が経験してきた「近代」を復元的に解明していくうえで、阪神間の神社は格好の素材を提供してくれそうだ。下の3枚の写真を見ていただきたい。本殿(見えないけど)の形も違うし、他の社殿の材料(木造もRC造もある)や彩色(朱、素木、白)も違うが、空間構成はほとんど同じと言っていい。

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生田神社(神戸市中央区

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本住吉神社(神戸市東灘区)

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西宮神社(西宮市)

地域性? と言えなくもないが、伝統的な地域性とはちょっと違う。一言でいえば、いずれも戦後復興の社殿(もしくは戦後復興社殿を踏まえた阪神淡路大震災後の復興)であり、その設計思想・体制に強い共通性がある、ということだ。遡れば、大正から昭和初期にかけて、長田神社、生田神社、湊川神社などの境域改修・社殿改築事業があり、そのときの設計思想・体制もおおむね明らかになる。明治期、近世の様相を踏まえ、また一方では地域の小規模な神社群も視野に入れれば、いかにして20世紀的な社殿・境内が確立波及してきたのかの明瞭なケーススタディが実現しそうである。