建築の争点

『建築雑誌』2月号から「建築の争点」という連載ページがはじまっている(連載といっても執筆者が毎号変わるコラムページという感じでしょうか)。建築をめぐる議論に亀裂を入れる可能性があるのになかなか顕在化しない論点、ある分野では重要性が知られているのに意外に広い議論には開かれない争点といったものをとりあげて、見通しの効く論者に紹介してもらおうというもの。その第1弾を「モダニズム建築って何?」というタイトルで大田省一さんに執筆をお願いした。1ページの短文にもかかわらず広い視野から問題を位置づけ、さらにアジアにまでふれつつ議論を開く可能性を示唆していただいた。ご存知の方も多いと思うが、「モダニズム建築」は日本の造語であり modernism architecture という英語はないが、それを必要とする(比較的最近の)日本のヒストリオグラフィ(歴史叙述の方法論)あるいは建築論そのものの問題でもある、こんな知的鎖国状態のままでよいの? ということを、4年ほど前から土居義岳先生が「土居義岳のリハビリ建築ブログ」上で議論されていた。今回の大田さんの記事を読まれ、同ブログで4年間のご自身のエントリを整理されているので必見(→こちら)。あと、『建築雑誌』2008年2月号で「慈しまれる?モダニズム建築」という特集が組まれたことがあって、「モダニズム建築」という言葉が(特集タイトルなので)いわば公定されたかたちになっているが、同じ会誌がそれに留保をつけるというのもある意味で『建築雑誌』ならでは?などとも思います。