新年のご挨拶 間もなくお手元に届きます 建築雑誌2012年1月号・特集 前夜の東北 Tohoku on the Night Before

1201-hyoshi_sasikae-thumb-363xauto-352012年が明けました。皆様すこやかに新春をお迎えのことと思います。私は台中市内のホテルでの年越しとなりました。

さて、日本建築学会の新・会誌編集委員会は2011年7月に始動しましたが、新年を迎えて日本建築学会HP会誌ページが新体制の情報に更新されています。

同サイト内には、今期の編集体制(会誌編集委員)ならびに編集方針(委員長挨拶)も掲載されておりますのでご確認いただければ幸いです。

創刊126年目を迎える『建築雑誌』ですが、2012年と2013年の2年間、24冊をこの体制でお届けします。読者の皆様からのご批判をお待ちしております。

さて、私ども新委員会の最初の成果、2012年1月号は特集テーマを「前夜の東北 Tohoku on the Night Before」とし、東北の地図を幾重にも折りたたむような雑誌づくりを試みました。今後も東日本大震災が投げかける諸問題を幅広い視野と角度から検討する特集を組んでいきますが、それに先だって、東北の時-空間的な地図集(アトラス)をつくっておこうと考えたのが本特集の意図です。もちろん東北といえば「東北学」の蓄積があるわけですが、近代史、とりわけ戦後史については実は隔靴掻痒の感がありました。そこで、人文・社会系の専門家の方々にも多数登場いただき、「前夜の東北」がどのような時-空間的な脈絡で成り立っていたのかを、寄稿だけでなく、対談、インタビュー、コラム、統計、地図(文字どおりの)など多様な形式を束ねるかたちで描き出そうと考えました(吉田初三郎の手になる岩手・宮城・福島の3枚の鳥瞰図も掲載!)。もちろん、それなしには震災の意味も、復興への道筋も描き出せませんし、また私たちが地方への視線(地政学的な観点を含めて)を忘れてきたことを率直に反省しようという意図もありました(グローバル経済への視点が弱くなったのは反省点ですが)。もちろん、今後の特集も何らかのかたちで建築をめぐる我々の「地図」の描き直しになるでしょう。24冊がそうした地図の重層になればとも思っていますし、表紙デザインも24枚の地図(文字どおりの地図であるかどうかは別として)になるのではないかと思っています。

座談、インタビューでお会いした多くの方々が、このような特集が必要だと思っていたとおっしゃってくださったのが大きな支えとなりました。ご協力いただいた皆さまに御礼申し上げます。

もうひとつ。今号は前委員会(中谷礼仁委員長)の2011年11月号の継承という側面もあります。また、巻頭の震災レポートについても前委員会の実績を引き継ぎ、今後の2年間もHP公開も含めて継続していきます。ただし、災害の実像に迫るため、「連続ルポ 東日本大震災|動き出す被災地」、「連続ルポ 東日本大震災|仮すまいの姿」の二つの記事を毎回並べる複眼的な構えをとることにしました。

2月号からは連載ページもさらに充実してお届けしますのでご期待ください。