ローブロー

10月12日(水)16:00〜 研究室の家具復興プロジェクトの内覧会+打ち上げ(→研究室ブログの記事参照)。当初からずっとご助言をいただいていた建築家の光本直人さん、濱名直子さんをお招きし、4年生たちが全制作過程をまとめたポスター、リフレット、ブックレットを手渡す。なかなかよいものができたね。ご指導いただいた皆さんに心より感謝。

10月13日(木)都市史特論、卒業設計ゼミを終えてから東大生産研へ。18:00より村松伸先生の授業「建築史第5」でレクチャー。今年は「記録することの可能性:災害と建築史」というテーマで授業プログラムを組み立てておられ、その2週目のゲスト講師にお招きいただいた次第。三陸漁村の津波被害と再生形態に関するアーカイブ・サイトをつくったのはなぜか、過去の記録と現地のフィールドワークからどれだけ個々の集落の履歴を復元できるか、そこから三陸集落史の基本的パースペクティブがどのように見えてくるか、そのパースペクティブに基づいて今後なすべき作業は何か、といったことをごくごく真面目にお話した。村松さんはいつものように所与の境界線に守られた価値意識をすっかり相対化してしまうローブロー攻撃なので普段なかなかできない議論ができた。ありがたい。ところで僕自身は村松さんのように全包囲的なフレームを広げたらまともな議論はできないと思っているから、戦略的にフレームを限定してぐいぐい議論を追いつめ、そこから見えてきた課題を次に展開すればよいと思っている。この二つは色々な意味で違う。僕はシークエンシャルで構わない。それから、多くの人々との緩やかなダイアローグで運動を動かしていく村松さんと、そういうことの得意でない僕との違いでもある。

10月15日(土)14:00 両国の建築思潮研究所にて平良敬一さんと打合せ。体調万全でなく編集委員会はまだ出席いただいていないので、事務局担当者とともに諸々のご報告に参上した次第。かなりビビッと来るご助言をいただいた。
16:00 四谷へ。韓国大使館内の韓国文化院で開催されていた、1930年代のソウルを再現する「モダン都市京城の巡礼ー鐘路・本町」展。最終日に駆けつけたつもりだったが目の前で撤去作業が進んでいて愕然。ロビーでメールチェックしてたら主催者の富井正憲先生のお顔が見えたので駆け寄ってご挨拶。片付け中の留学生の皆さん(東大、神奈川大、国士館大等)を紹介いただく。展示は見られなかったが行ってよかった。
17:15 六本木、森美術館にて「メタボリズムの未来都市」展を観る。後半は時間切れで駆け足だったのでもう一度行かないと。メタボリズムの提案はだいたい地表から浮いている。「人口増加・土地不足」というと土地は量の問題になり、したがって諸種のメガストラクチャーでそれを立体的に増やせばよい理屈だが、背後にはあらゆる建築システム的構想にとっての外部にある「地べた」の制度性(土地所有をめぐる諸関係)の問題をカッコに括りたい、という欲求があるだろう。大高正人はこの「地べた」と格闘したので区別する必要あり。一方で、メタボリズムの背景にはトウキョウやヒロシマの廃墟があり、バラックやスラムがあり、あるいは伊勢湾台風の被災農村があることもあらためて確認した。
20:30 新宿歌舞伎町。20:00から始まっていた研究室の同窓会に遅刻(ごめんなさい、東京をなめてました)。明治に着任して最初の年になぜか修論を指導したんですが(笑)、彼らから数えて今の4年生が青井研6代目になる。卒業しても時々研究室に遊びに来てくださいな。