研究室復興・家具プロジェクトもいよいよ施工段階に/台湾入り

 3.11で壊滅(といっても什器・備品・書籍などの倒壊・破壊・散乱です)した私たちの研究室(B4〜D1、約20名の居場所)の復興を新入りB4の共同プロジェクトとして4月から設計・積算・材料発注などを進めてきましたが、ようやく7月29日に材料が届き、7月31日より施工がはじまりました(→研究室ブログ)。完成したら、折にふれて度々助言くださった建築家の光本直人さん・濱名直子さん(ミハデザイン mihadesign )をお招きしてお披露目打ち上げ会しましょう。

P8161420 昨日(2011.08.05 Fri.)台北に入りました。科研費の大混乱(7割に減額+大学に未入金)は困ったものです。夏〜秋の間にちゃんとあるべき姿に戻すか明瞭な説明をするかの対応をとってもらいたいと思います。というわけで財政的な不安を抱えつつ、すでに学生たち7名が吉貝島(澎湖島)に入って調査をはじめていますが(→研究室ブログ)、本日(08.06)、私を含む4名が合流します。1週間後の08.12 までにこの島の、都市化しつつある漁村集落を事例としてティポロジアを構築する予定。宿題は極力残さないようにしたい(帰国したら下北沢調査、三陸調査といろいろ大事なことが続きますし)ので、今晩・明日のミーティングが決定的に重要です。ところでティポロジアというのは都市組織を建築類型の進化と堆積によって理解しようとする方法的概念であり、異なる時間の刻印を帯びた事物(建物やその断片)の現前(現在において同時的に存在していること)が基本的には必要となります。その点、この島では、珊瑚石と杉材でできた平屋の三合院から、鉄筋コンクリートの「チューブハウス」や「塔の家」まで(いずれも我々がつけたニックネームです)、つまり、地型(ロットの形態)、そこにかかる経済的圧力、材料・技術、空間の立体的な構成形式といったものが、互いの条件を付き合わせることで一定の建築の類型(tipo)を絞り込むように析出するのだということが手に取るように分かるのです。この絞り込みはおそらく暗黙知の領域で瞬時になされる側面と、集落内で伝播しつつ微修正(洗練)される側面との両方があるでしょう。随時報告します。

写真は伝統的三合院とその重層化、更新などが織りなす吉貝集落の風景(20090816撮影)。