出来上がりました。『すまいろん』2010年夏号・特集「動くすまい:流動的都市の原風景と未来」
私が責任編集を担当させていただいた特集が出来上がりました。まだ公式サイトの情報が更新されていませんが(→更新されました)、すでに各所に届きはじめた頃かと存じます。本日、某雑誌編集者と某映画監督のお2人が研究室を訪ねてこられたんですが、『すまいろん』を手にしておられて「面白かったです」と感想をくださいました。
「動くすまい」というのは比喩ではありませんし、またポータブルハウスの技術論でもありません。普通の家がうごくのです。震災復興の区画整理では20万棟のバラックが曳家されましたし、16世紀に来日したイエズス会士ジョアン・ロドリーゲスは日本の家屋あるいは集落・都市がまるごと移動するのをたびたび目撃しています。曳家・移築・仮設といった「動くすまい」に着目すると、日本の所有観、土地建物関係、都市計画、災害復興などが再考できるはず、というのが編者の意図です。これまでありそうでなかった視点だと思いますし、資料的価値の高いルポも盛り込んでいます。力の籠った記事をお寄せくださった執筆者の皆さん、そしてシンポジウムで企画の視野を押し広げてくださった先生方、まずは心より感謝申し上げます。
以下、特集部分の目次を掲げておきます。全体の目次は上掲の書影(画像)をクリックしてご確認ください。
特集「動くすまい:流動的都市の原風景と未来」
焦点:「動くすまい」と「やわらかい都市」:土地・建物関係の再考 青井哲人
シンポジウム:やわらかい都市/かたい都市 陣内秀信・伊藤毅(司会・青井哲人)
論考:関東大震災と東京の下町:曳家と区画整理 田中傑
論考:改造 移築 分割 移転:匿名の技術・経済として 平山育男
論考:日本中近世都市における土地と建物:特に建物先行型について 土本俊和
論考:動くすまいの権利:土地と建物の法的関係 森田芳朗
ルポ:都市の持続と曳家の技術 明治大学建築史・建築論研究室 石榑督和