始発電車トリップ

このあいだ、卒業設計公開講評会の流れでいくつかの研究室の学生たちとT先生と朝まで飲んで、某駅から始発で帰った。僕は「下り」の電車に乗っていた。気がつくとT駅だった。自宅最寄りのH駅から2駅も過ぎていた。眠り込んでしまったらしい。当然「下り」のホームに自分はいるはずなので、慌てて階段を駆け降りて向かいのホームに出てみたら、そっちも「下り」のホームだった。これはどうしたことか! 寝ぼけた頭をたたきながら再びさっきのホームに戻り、入ってきた電車に乗ったらちゃんと自宅に辿り着いた。
しかし、なぜ「下り」ホームの向かいもまた「下り」だったのだろうか。謎が解けたのは昼飯の後だった(まあ昼まで寝てたんだけど)。何のことはない、(僕が眠っている間に)電車は「下り」の終点K駅まで行って、折り返し「上り」電車になった、ゆえに僕が目覚めたのはT駅の「上り」のホームだったのだ(そのまま乗ってりゃ間もなくH駅に着いたのか)。いや論理的にそう考えるほかない。始発に乗ったわりに帰宅時間が遅かったのもこの仮説を裏付けている(←アホ)。
これが歴史です。
(解説)僕は最初、ホームのこちら側とあちら側のあいだで、つまり階段を潜った時に「謎のトリップ」が起こったかのように思ったが、これは自分がその時点で入手しえた資料によって最も経済的な仮説を立てたために生じた誤謬であって、実際はふつうにトリップしていたわけです。ちなみに、“オッカムの剃刀”と呼ばれる指針からすれば最初の誤謬はその時点ではいわば合理的な誤謬だと言えますが、帰宅時間がやや遅かったという資料が発掘されたとき仮説のフレームが一段大きくなり、より合理的な・・・、もういいか。