WEB建築討論 新シリーズ「建築と戦後70年」第1回平良敬一「運動の媒体としてのジャーナリズム」公開

“201611_toron_taira_keiichi"日本建築学会のWEB建築討論で、新しいシリーズ「建築と戦後70年」をはじめました。発足メンバーは当方と、橋本純・辻泰岳・市川紘司・石榑督和の5名ですが、今後、有志の方々に加わっていただき拡大していこうと思っています。シリーズの主旨は同サイトをご覧いただければと思いますが、インタビューによるオーラル・ヒストリーを軸にしながら、他の形式も交えつつ、「戦後」という独特の地場がいったいどのような空間であったのか、その証言と議論を公開・ストックしていくシリーズです。どうも建築分野では「戦後70年」はあまり議論を喚起しませんでしたし、これをきっかけに新しい歴史的パースペクティブと建築論を作り出そうという機運も高まっていません。しかし、「戦後」は確実に終わろうとしており、同時に、「戦後」が生み出してきたものを私たちは曖昧なままひきずり、また新しい文脈で半ば無意識に「戦後」的なものが噴出したり利用されたりしている状況は、正直にいって気持ちのよいものではありません。風通しが悪い。「戦後」を規定し、私たちがそれとどのような関係にあるのかをはっきりさせる運動は、今後の建築・都市への構想の努力を支援していく意義を持つのだと思っています。歴史は未来予測や占いではありませんが、現在へと至る過去の見通しを描く努力があまりにも少ないのは事実です。
 さて、第1回は今年齢90を迎える平良敬一さんを仙台に訪ねたインタビュー「運動の媒体としてのジャーナリズム」を公開しました。平良町(宮古)と赤羽(東京)、50年代建築論におけるNAUからの持続と分岐、運動の媒体としての雑誌、共産党コミンフォルム事件・・・。重要な証言が満載です。ぜひお読みください。われわれも大いに視野を開かれ、今後なすべき作業にも示唆いただきました。