高校生相手に講義したが、しっかり伝わっていて感激。

去る10月13日(土)に神奈川県立生田高校との高大連携講座の1回を受け持たせてもらい、1年生の生徒さんの前で講義をした。テーマは「東日本大震災が投げかける問い」。311直後から研究室の学生たちと作業したり考えたりしてきたこと、さらには『建築雑誌』の編集を通じて学んで来た多くのことがらのなかから、高校生の皆さんに考えてほしいと思ったことを喋った。とくに、地震津波は自然現象、「災害」は社会現象ってこと。自然現象は社会に対する入力 input であり、災害はそれに対して社会が反応し表現する出力 output なんだという、このことさえちゃんと区別できれば、そこから冷静な思考を進めていける。リスクは私たちの社会が歩んで来た歴史に根ざしているということ、リスク制御技術が向上するほど実は大きなリスクを抱え込むということ、だからゼロ・リスクは神話なのだということ、入力に対して変形して戻らなかったり壊れて粉々になってしまうような社会をつくってはいけないということ、だから過度なインフラ信仰は有害だということ、社会の変形だけでなくそれを戻していくプロセスも災害の一部なんだということ、生命・生業・生活の関係をよくつかまないと社会の回復は進まないということ、等々を素直に理解できるようになる。
今日、受講した高校生たちのレポートが届いた。「建築にはあまり興味はなかったけど今回の講義は興味深く、驚くことが多かった」、「考え方のアプローチが重要だということを学んだ」、「回復に向かう小さな動きを応援すべきだということに納得した」、「自分も被災地に足を運んで考えてみたいと思った」などといった感想が書かれていた。率直に嬉しい。