謹賀新年はあまりに遅すぎてお恥ずかしいのですが。ご挨拶かたがた2016年の備忘録。

 2月も末になったのでもう居直っていいますが、本年もよろしくお願いします。
 年末年始は神山町(徳島, 3日間)、閩南地域(中国福建省南部, 10日間)、原発被災地(福島県, 5日間)と出張続きで、その後もバタバタが止まらず、年賀状も結局あきらめてしまいました。

 さて、昨年(2016年)の自分の1年間を 4半期に区切ってまとめておきます。これやっとかないと区切りがつかないんで。

1(1-3月):1月16日、台湾総統選挙にて蔡英文当選。2月1日〜3月28日、BankARTスクールにて連続8回のレクチャー(うち1回は石榑督和さんに代打頼んだ)。2月24日、都市基盤史研究会にて青井・岡村・石榑の連名発表。近々本になる予定。2月25日、八束はじめさんと対談(10+1website)。2月27-28日、明治神宮書評会、土居義岳さんと。3月4日、TKC(トウキョウ・ケンチク・コレクション)にて論文審査。新谷眞人・石川初・一ノ瀬雅之・森田芳朗・八束はじめの皆さんと。3月19〜25日、台湾調査。9月に控えたISAIA(中国・韓国・日本の建築学会が開催するアジア建築交流国際会議)の準備もいよいよ具体的に。

2(4-6月):4月8〜15日、息子の高校のプログラムでフランス人高校生ホームステイ。4月23日、NUS(シンガポール国立大学)の Chen Yu さんを招いてレクチャ(青井のUrban and Architectural History)。『日本都市史建築史事典』プロジェクトはじまる。伊藤毅先生が編集統括。建築史だけでなく、社会史・考古学・民俗学等の専門家が一冊の事典を編む。青井は戦後編担当、タイヘンだ。研究室で東京のインナーシティの外側を歩く企画、東京アウターリング(tOR)を準備。5月8日に第1回羽田。研究室メンバーだけでなく、建築家・編集者など多くの方々(橋本純・日埜直彦・川尻大介・山岸剛ほか)に参加いただき、近世・近代の羽田のあまりにドラスティックな変転の跡を訪ね歩く(7月初にレポート冊子『tOR01羽田』完成)。

3(7-9月):7月3日、第2回北千住の街歩き。参加者増(浅子佳英ほか)。情けないことに青井は熱中症で倒れそうだった(『tOR02北千住』は10月完成)。7月9日、地域文脈小委員会(日本建築学会都市計画委員会傘下)の企画で明治神宮外苑地区を歩く。中島直人さんら8名と。今日におけるコンテクスチャリズムの可能性を探る共同研究はもう数年になるが、いよいよ(ようやく)新しいチャレンジがはじまる感じ。やっぱり歩くことを共有するのは大事だ。8月2〜21日、台湾調査(途中オープンキャンパスのため一時帰国)。今年は19世紀初期の建街事例(永靖)と20世紀鉄道町の事例(二水)を5日ずつインテンシブに掘る。前半は恩田重直さんに参加いただいたのが良かった。8月24-26日建築学会大会@福岡大。8月31-9月3日綾里調査。ついにスナゴハマオオヤの屋敷に入らせていただき、何から何までお世話になり、綾里の歴史的理解をうんと深めることができた。9月5-10日神山スタジオ(大学院設計スタジオ2)。伊藤暁・門脇耕三のお二人と。今年は神山の高橋成文さん、東工大の真田純子先生といった方々に大変お世話になり、民家にとどまらず環境全体の人間的・産業的な再編過程に唸る。

4(10-12月):神山スタジオは10月より設計編を進め、12月は4日に講評会(ゲストに福島加津也・馬場兼伸さん)、18日に合同成果発表会(慶応SFC石川初研究室と)、24日に現地報告会とジェットコースター。石川研との議論で視点書き換わった。10月23日、半田市の三軒長屋コンペ。藤原徹平さんと審査員。企画者の吉村真基さん(D.I.G Architects)のパワーに圧倒される。11月12日、tOR第3回練馬の街歩き。またまた参加者増える(鈴木明・吉良森子・フェリックスほか)。屋敷林のある散村の宅地化、江古田の同潤会分譲住宅等。少し遡るが、9月に南会津の建築家・芳賀沼整さん(はりゅうウッドスタジオ)から、福島原発事故避難者が生活再建を考えるための地図をつくりたいとの相談。NPO法人福島すまい・まちづくりネットワークが福島県の補助を得て実施するプロジェクト。青井は監修の立場で関わることになり、10月に方針を決め、ペラの地図ではなく複数の視座から作成した地図をバインドした64ページのアトラス(地図集)をつくることに。11月13-14日、12月11-13日、年明け1月6-10日と時間を見つけては取材・打合せに被災12市町村出張。インフォグラフィクスが大事なので中野豪雄さんにデザインをお願いし、編集実務をKさんに依頼。東大の井本佐保里さんらにも協力を要請。12月26日-1月4日は福建調査。恩田重直さんと。廈門大・華僑大の方々にもお世話になり、よいフィールドも見つけた。

 いま(2月末)は福島の案件(『福島アトラス:原発事故避難12市町村の復興を考えるための地図集(仮)』)がいよいよ佳境というところ。研究室の院生たちも十数ページのコンテンツをつくって、だいたい手が離れた。地図そのものが少々難航中だが何とかなりそう。3月末完成予定。10月スタートでよくここまで来たものだ(皆さんに感謝!)。しかし、原発被災地は思った以上に複雑に引き裂かれている。浜通りを何度も車で往復し、中通り中山間地域にも行って、その分裂的な状況と構造を少しだけ理解できた。ただ公的なプラットフォームでの表現の限界というものはあり、そのあたりはまた完成したらこのブログでできる範囲で書いておきたいと思っている。
 つづいて4月に開催予定のある展覧会の準備にとりかかっている。これまた時間のないプロジェクトだが、何とか意義あるものにしたい。

 今年はもうほんんとに「カタチにする年」にしたい。本ですね。