近代建築史01/イントロダクション

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まずはこの講義を進めるにあたって常に念頭に置いてほしいこと。

(1) 建築はシステムである。
 ・建築物は様々な要素、様々な側面が緊密に織り合わされたシステムである。
 ・建築物は外的な諸要素が緊密に連関した社会的なシステムのなかでしか成立しない。
 ・システムは安定的な時には疑われない。亀裂・歪みが生じるとシステム的連関が遡って自覚される。
 ・システムの構成要素に起きた変化は、他の部分にも連鎖的な影響を及ぼす。
(2) 建築家もまたシステムの一部でありながら、しかしシステムを提示しようとする。
 ・建築家が建築家と呼ばれる理由はそこにある。しかし、建築家がいなくても建築が建つことは自明。
 ・この矛盾をどう生きるかが建築家の資質の大部分を決めてきた。
(3) 近代と近代主義は異なる。
 ・近代とは、産業革命・市民革命期以降にできあがってゆく、誰もが巻き込まれずにいることができない最大のシステムのこと。
 ・近代主義とは、たえまない自己批判による自己純化の運動のこと。