建築雑誌2013年7月号・特集「建築系学会大集合/Assembling All Academic Societies around Architecture」

1307_cover_3どうです、この表紙デザインの強烈なこと。「建築」系学会の生態系を描き出してみよう、というのが今回の特集ですが、これはある種の宇宙図、変相図、マンダラというべきか。中野豪雄さんとしてはちょっと珍しい嗜好では? 否、編集委員から提示されたデータを最も合理的に読者が読解可能なグラフィックに変換する、という意味ではいつもと変わらず一貫してますネ。今回の場合、建築学会の会員がどんな「他学会」に所属しているかを、その所属分野別との相関で表現するために、極座標系が採用されているのです。
 編集手法の特色としては、読者へのアンケートを実施し、そのデータのまとめを誌面の主体としたこと。アンケートはメールで呼びかけてウェブ上で回答するかたちをとりましたが、ネットを使わない会員には会誌上に告知を出してファックス送信もできるように配慮。正確には記憶してませんが、アンケートを開始してから最初の1〜2週間の間に500件ほどの回答があったんじゃないかな。記名(寄稿)のアンケートにご回答いただいた方々も含め、ご協力いただいた皆様に感謝します。
 これらデータ編を「日本建築学会会員から見た学会界」「建築系学会総覧」としてまとめ、これらを、福島真人×村松伸、紺野登×南一誠の、二つの対談(面白い!)が前後よりサンドイッチ。
 今回の編集担当は、饗庭伸(首都大学東京)・竹内泰(宮城大学)・蜷川利彦(九州大学)。主担当の饗庭先生はじめ皆様ご苦労さまでした。
 さて、本当に重要なのは、「日本建築学会」の生きる道、今後の理念と組織体制。それを今回の特集コンテンツをもとに皆さんに議論していただくことです。関連分野の300〜400もある中小学会と比べたとき、やはり3万5千人という会員数と、「建築」の拡がりに即応した包括性は特異で、このこと自体が独自性なのですが・・・隅々にまで惰性的・慢性的に徹底された縦割り組織(これが実態)なんて、この独自性を生かすのとまったく逆の方向性なんだと思いますけどね(会誌編集委員会はあらゆる分野の委員の皆さんと横断的に酒が飲める、刺激的でクリエイティブな委員会です!)。トップダウン的に何らかの意志を働かせるというのがひとつ。だけど、その前に各常置委員会レベルで学会って何?という理念問題を議論すること、大きな目標を決めて段階的な再構築を進めること、そのとき組織に柔軟性・冗長性を残すようにすること、といったあたりを主体的に進めるタイミングに来ているのじゃないかなー。私見です。