「建築家とは何か:堀口捨己・神代雄一郎展」(2013年4月20日〜5月19日)無事終了しました。

R0039928すでにツイッター@horiguchikojiro)でお伝えしましたとおり、5月19日(月)をもって、「建築家とは何か:堀口捨己・神代雄一郎展」(於:明治大学博物館特別展示室)が無事に終了いたしました。来場いただいた多くの方々にまず御礼申し上げます。また、この展覧会を実施するにあたって多くの方のお力添えをいただいたことは言うまでもありません。ギャラリートーク、シンポジウムにご登壇いただいた皆様は、本展覧会でとりあげた二人の先達と今日の私たちを結ぶ線の数々を生き生きと描いて下さいました。あらためまして、関係するすべての皆様に、心より御礼申し上げます。

R0039943展示室の入口に掲げました展覧会の開催主旨文を以下に掲載して記録としたいと思います。

建築家とは何か 堀口捨己・神代雄一郎展 開催にあたって

 堀口捨己(1895〜1984)、神代雄一郎(1922〜2000)は、1949年の明治大学建築学科の創立時からの教員であり、本学科の六十数年の歩みのなかで、その理念の最も核心的な部分を築かれました。
 周知のとおり、建築家・堀口捨己は、1920年の分離派建築会の結成以降、我国における近代建築の歩みをその思想と作品とで牽引し、また1930年代以降は茶室・数寄屋・庭の研究を深め、今日なお他の追随を許さない仕事の数々を大成しました。堀口は、それらを総合し、時代状況に翻弄されない表現者としての独自の立場を築き、多くの作品と著作を遺しました。本学各キャンパスの計画や施設設計に対する多大の貢献も銘記しなければなりません。
 神代雄一郎は、近代建築史研究、デザインサーヴェイ、日本建築意匠論などに力を注ぐ一方で、つねに同時代の建築やデザインの状況に対して鋭い批評の筆を揮いました。戦後復興期から1960年代、70年代に至る目まぐるしい時代の変転のなかで、その批判精神を決して曲げることのなかった神代の言葉の数々と、その基盤にあった独自の感性は、今、私たちへの切実な問いとなって響きます。
 彼らはまた、建築のみならず文学・美術・工芸などの諸領域を横断し、国境を越えて、幅広い人間的・知的な交流のなかで、日本の文化と現在を捉え、発信しました。
 そして、建築家とは何か、という問いを私たちが掲げるとき、彼らの姿勢と軌跡は最も貴重な道標となるのです。

 堀口捨己の建築設計図面をはじめとする明治大学所蔵堀口資料は、堀口研出身でもある木村儀一本学科元教授が継承され守ってこられたもので、同氏と、堀口研究の第一人者である藤岡洋保東京工業大学教授の尽力により整理され、資料目録が作成されています。

 また、本学建築学科所蔵の神代雄一郎資料は、神代研出身の松崎照明氏が保管されていたデザインサーヴェイ図面および蔵書を中心とする資料群と、同じく松本勝邦本学科元専任講師が保管されていた写真資料等を、本学科(明大建築アーカイブ)が収蔵し、整理を進めつつあるものです。

 このたび、これら資料を、そのごく一部ではありますが、皆様に広くご覧いただく機会を設けることができ誠に嬉しく存じます。この展覧会と関連企画が、堀口捨己・神代雄一郎という巨大な先学の今日的な再評価につながること、同時にまた、建築や職能をめぐる私たちの議論の活発化につながることを期待しています。
 そして、堀口捨己・神代雄一郎両先生の貴重な資料群を大切に後世に受け継ぐことは、本学科ひいては明治大学の重要な使命であると、あらためて切実に考える次第です。

 最後になりましたが、開催にあたってご協力をいただいた御遺族や関係者の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げる次第です。

最後に、同展覧会と関連イベントの全般にわたり、惜しみない努力を注ぎ込んでくれた学生諸君に、心より御礼申し上げたい。ありがとう。