Victor Horta, La Maison du Peuple, Bruxelles, 1896-1898

Maison_du_Peuple_Horta_1898_planヴィクトール・オルタ設計の「人民の家」(ブリュッセル、1896-1898)の平面図。施主は Parti Ouvrier Belge という政党で、英語にすると Belgian Socialist Party つまりベルギー社会党。オルタ、あるいはアール・ヌーヴォーといえば19世紀末のブルジョアの(ある種の狂気の)表現というイメージがあるんだけど、ブルジョア出身知識人のある部分が左翼的進歩主義の傾向をもち、彼らがアール・ヌーヴォーの理解者でもあった、というのはどれくらい奇妙なことなのかも分からないが、何か捩じれている気がして面白い。「peuple 人民」のための家という名前の建物が、近代建築のひとつの先駆的結実ともされるのは分かりやすくてありがたいが、それがオルタの代表的傑作であり、なおかつそのプランは敷地の不整形を見事に都市の一部たる建築へと整合させる手さばきは、(近代的エンジニアリングのおかげで「ポシェ」を極限まで切り詰めているとはいっても)きわめて正当に伝統に接続していることが、とても面白い。

Maison_du_Peuple_Horta_1898_facade Maison_de_Peuple_Horta_1898_auditorium