台湾調査報告その1

R001362710日までのワークショップを無事に終えて、休む間もなく11日より調査開始。今回は竹の世界をおさらいした後、ホーロー(閩南系台湾漢人)とは異なる文化を持つ客家の人々の世界を開拓したい。メンバーは兄貴(陳正哲先生)と私と妻、それに学生たち数名。
写真は西螺の街並を背面から捉えたもの。強固な観念的形式と柔軟なブリコラージュとの共存。

8月11日 西螺へ。植民地期の街屋が1km弱にわたってよく残された延平路。「螺陽文教基金会」の何さんが迎えてくれる。まずは街屋のひとつ(西螺老街図書館として利用)に入り、南華大学とうちの学生たちが一緒に簡単な補修工事(壁・建具等)。その間に僕は同じ建物を実測。1・2階平面と矩計を描く。夜は何さんのご自宅(老街のなかの街屋のひとつ)の改修されたゲストルームに泊めていただく。
8月12日 虎尾の台湾糖業公司雲林區處を訪ねる。植民地期の製糖工場コンプレクスが今も稼働しているが、木造宿舎群はかなり失われている。ここで偶然の出会いや再会があり翌日の予定が決まる。午後は西螺へ戻り、街屋の実測を小朋友(学生たち)に指示して、僕ら大人は街歩きとインタビュー。裏通りや付属屋にはまだ竹造がいくつか残る。夜はまちづくりの会合にオブザーバー参加の後、南華大学の学生さんたちとみんなで飲む。西螺泊。
8月13日 古坑へ。華山村を廻り、竹造の残る家屋をいくつか記録する。田舎の村々をめぐるひとつの愉しみは、強烈な材料ハイブリッドの世界に出会うこと。つづいて斗南へ。何と竹造+茅葺きの民家に出会う。住人から幼少期(1930年代頃)の家屋や寝床の形態など詳細に聞き取る。台南泊。
8月14日 美濃へ。いよいよ客家(ハッカ)集中地域である。我々がテーマにしている「総鋪」はホーロー語(閩南語・台湾語)であり、客家のケースは未調査。地元のまちづくりグループに案内していただきいくつかの民家を巡る。我々が見てきた総鋪と基本的に変わることのないものが一般に観察されるが、彼らはそれを「大鋪院」と呼んでいる。美濃泊。
8月15日 深夜から朝まで激しい腹痛と下痢に見舞われる。どうやらまた急性胃腸炎らしい。朝、調査に出てはみたものの最初の民家で動けなくなり、病院へ。残念ながら美濃調査はここで断念して台南のホームベースへ戻る。夜まで断続的に差し込むような腹痛。台南泊。
8月16日 昨夜から腹痛はおさまり、軽く朝食(おかゆ)をとる。今日はゆっくり休息をとり、新竹へ移動することにしよう。
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西螺での街屋補修作業。打合せ中の学生たち(南華大学と明治大学)。