建築設計2/第2回イブニングトーク+懇親会

6月22日(火)、明治大学で担当している建築設計2(2年生)、第2課題の中間発表会。大学キャンパス正門横の変形敷地を、そのコンテクストを読み取りつつ、新しい質をもった場所へと一変させることを求めている(プログラム自体は難しくない)。強いアイディアが必要だということを強調していたのだが、意外にも空間や場所を丁寧につくろうとするタイプの人の方に可能性が見える。難しいものだなあ。ここから先はしつこいディベロップに耐えた人が成長するのだよ、きっと。
終了後は第2回のイブニングトーク。兼任講師の安田博道古見演良安部良の各氏にレクチャーをお願いした。安田さんはデザインヴォキャブラリーとしての樹木とその日常的なウォッチングのお話がとても面白かった。明治神宮から蔦で覆われたビルまで。僕もこれから街歩きするときは樹々に着目して収集してみようと思う。古見さんの話題は何と東京電機大阿久井研究室時代の軍艦島サーヴェイ。閉山4年後の生々しい写真群。異様な密度の実測図は学生たちの目にどう映っただろうか。1916年竣工の30号館は、世界史的にみても早いRCフレームのザッハリッヒな表現がまさに無意識(素朴合理主義)において実現してしまった恐るべき建物だ。阿部さんは香川県の豊島(てしま)で進行中のプロジェクト中間報告。古い民家や土蔵の修復は左官職人やボランティアとの恊働。テント状の軽やかな屋根は何と杉板葺きで、風が吹けば板がはらはらと揺らめくだろうという。見たい。
イブニング・トーク終了後、担当教員7名とTA2名による懇親会@向ヶ丘遊園。雑談を交えながらも設計・批評・ジャーナリズムをめぐる議論で盛り上がる。尖っていくもののない緩やかな微地形のような状況のなかに、設計者は微細な差異を次々に投げ込んでいかざるをえない。もちろんバブル期の「差異」とは違うのだが。