SF的時間体験を毎日のように。

12月25日から福建省のいくつかの地域を巡って、今晩(1月3日夜)厦門に戻ってきた。明日台北に帰り、翌日台南へ行って所用を済ませ、7日には帰国の予定。今回の旅ではほとんどSFのような不思議な感覚をたびたび味わい、色々考えることも多かった。個々の事件についてはあらためて写真付きで報告するつもり。以下最近3日間の簡単な日誌。
P1039539*写真は今日の晩ご飯より。これも外観はSF的であった(けっこう美味)。

1月1日(金)泉州。中山南路付近を歩く。五脚基(騎楼)のあるショップハウスが途切れることなく続く。もちろん色々な更新がなされているのだがファサードの連続は圧巻である。裏通りにはさらに複雑な世界が展開する。大通り沿いには一見するとショップハウスの進化形かと思われるような街並み。しかし、よく見るとショップハウスとは基本的に異なる何種類かの民間開発の型が旧市街各地で実験されているようである。一方、壁面の材料・色と屋頂(屋根)の形における泉州の「伝統」の表象はきわめて一貫している。夕方、角南さんはじめ3人は厦門へ帰還。我々はタクシーを捕まえて莆田ヘ。見渡す限り近代的な開発の高層集合住宅が並ぶが、足もとの人々はほとんどアナーキーでカオティックな様相。

1月2日(土)莆田の街を歩く。人に尋ねても古い街は全部壊してしまったと口をそろえる。しかし裏路地に入るといくらか層状の歴史が感じられる。城隍廟に出くわす。明代の様式。ついで目的のひとつ玄妙観三清殿。北宋1009年の建物で、外部からは分からないが堂内に一歩足を踏み入れたとたんに圧倒的な構造が展開する。しかし神像も何もない。隣の東嶽殿では卓球とビリヤードに興じる人々と骨董屋が待ち受けていた。その向かいに古い民家を発見。幸い住人に親切に案内してもらう。色々と発見あり。そしてこの家の前の通りを進むとそこには信じられないような古びた町並みが蜿々とつづくのであった。狐につままれたような不思議な体験だった。これについては別にレポートする。夜、バスで福州へ到着。

1月3日(日)福州。まずは華林寺。北宋だが昨日の三清殿よりさらに半世紀早い。木太く力強い架構に圧倒される。ついで街歩き。昨日の莆田が嘘であったかのように福州の都市は現代的で落ち着いて見えた。ただし高層住宅群の背後には今まさに破壊されたばかりの旧市街の残骸があった。そして、「三坊七巷」の名で知られるかつての官人の邸宅街は、最近数年のうちに住人を移住させて歴史的町並みとしての修復がなされている。いや、ほとんどディズニーランドのように新しい歴史的街並みをつくり出していると言った方がよいかもしれない。今回の旅のなかでは時間が最も機械的に扱われている都市と言ってよい。夜、厦門へ戻る。