鈴木成文邸にて。

R0018726
20090222 Sun. 鈴木成文先生のお宅は大塚にあって、明治中期の書院座敷(戦後に移築してきたもの)から1927年のRC造書庫、さらには終戦直後1946年の木造15坪(この数字、分かる人は分かりますよね)まで、日本の近代住宅史のドキュメントそのものなのですが、このお宅で毎年1〜2月に餅つき大会ということで新春の集まりがあります。私も毎年ご案内はいただいていましたが、東京に来たのだから御挨拶にうかがわなくてはと家族4人でお邪魔した次第。鈴木邸には以前に一度だけ別の機会にお邪魔したことはあって、戦災をサバイブしたRC造の素敵な書庫=書斎も拝見したのですが、餅つきは今回が初めて。いやあ鈴木先生、相変わらず御元気でした。そして錚々たる先生方から神戸芸工大のOBまで多彩な方々にお会いできて楽しい宵でありました。
 個人的な話で恐縮ですが、とても嬉しかったのは複数の先生方から住総研の論文*1につきお褒めにあずかったこと。鈴木先生からは歴史を組み上げていく独特の視点がすごくいいとおっしゃっていただきました。初見先生からも有り難いコメントをいただきましたが、さらに、大学教員として学生たちにものを考える自由を満喫させることが一番大事なのだと激励をいただきました(これはホントに励まされました)。
 驚いたのは鹿島の江幡さんと近代の神社に関する議論で大いに盛り上がってしまったこと。神社で話が通じる人はめったにいないので僕も思わず語ってしまいました。神社は9年前に一度キリをつけたのですが、ああいうイデオロギーむんむんの主題をやった後に、物言わぬ都市、そして最もドメスティックにして普遍的なる住まいの世界に触れてきて、今ならもう少し広い視野と深い射程で神社を論じ直すことができるかもしれないと思いはじめていた矢先でして、何だか不思議な気分でした。
 最後にもうひとつ。神戸芸術工科大学で助手をしていた頃に学生さんだった2人に会いました。一人は筑波の貝島桃代研究室で博士学位をとって横浜国立大の講師になった志村真紀さん。もう一人は建築思潮研究社で編集の仕事をしている波多野章子さん。いやあ意外に身近なところで活躍していたんですね。また一緒に仕事できるといいなと思いました。
R0018723

*1:青井・陳・角南・張「台湾漢人住居にみられる〈総鋪 chong-pho〉の調査研究〜日本植民地期以降の〈眠床〉−〈和室〉の結合とそのゆらぎ」『住宅総合研究財団研究論文集』第34号 2008年3月