新国立競技場問題、捻れた修正、みたび。

今日(2015.05.18)新国立競技場の整備問題に関して、下村博文文部科学相が東京都庁を訪ねて舛添要一都知事と対談、そのなかで建設コストの抑制や工期短縮を目的に整備計画を見直すことを明らかにした、という速報が流れた(たとえばこれ)。要するに東京都…

中谷礼仁さんの岩波『科学』での連載「動く大地に住まう」がはじまっている。

表記連載が掲載されている雑誌『科学』(岩波書店)2015年5月号を著者の中谷礼仁さんより恵投いただき、今日拝読した。連載の第1回は「Buildinghoodへの気づき」と題されている。著者が2013年正月にはじめた「プレートテクトニクス際の旅」の、そのすべり出…

10+1 website 2015年5月号特集「特集:研究室の現在──なにを学び、なにを読んでいるか」

10+1 website 2015年5月号特集「特集:研究室の現在──なにを学び、なにを読んでいるか」 青井研究室の記事 建築系の研究室はどんな本を必読文献としているか。あなたの学部4年や修士1年に薦める本を紹介せよ、というお題でした。建築史建築論研究室と称する…

建築雑誌2015年4月号特集「集合住宅の「普通の暮らし」:アジア東部6都市の比較」

建築雑誌の表記特集号が出ている。一つ前の編集委員会(2012-13)でもアジアのハウジング特集をやったが(→201308特集「アジアン・ハウジング・ナウ」)、そのときおよそ前提になると考えた見取り図は次のようなものだった。第一に、東南アジア・南アジアに…

シンポジウム「ヒストリー・オブ・ジャパン・アーキテクツ」のレビュー

表記シンポジウムについて当ブログでは、 http://d.hatena.ne.jp/a_aoi/20150228/1425138684 http://d.hatena.ne.jp/a_aoi/20150305/1425489332 のふたつの記事でいちおう振り返りましたが、この間に下記レビュー記事が公刊されました。ありがたいです。 吉…

八束はじめ・布野修司両先生と鼎談しました。

web

八束はじめ・布野修司対論シリーズの第3回として、青井が呼び出されて「建築思想と生政治ー近代建築と建築史ー」と題する鼎談をしました(2015.01.09)。WEB版建築討論004号に出ています。5万字超えで、内容もマニアックですがご覧くださいませ。 建築討論 …

辰野金吾:英国的・ピクチャレスク的自由と、後進国日本の国家的要請のあいだで

河上眞理+清水重敦『辰野金吾』(ミネルヴァ書房、2015)を3月中旬にご恵投いただき、すぐに読んでお礼のメールを送ったのだが、あらためて感想を書いておきたい。 辰野金吾(1854-1919)といえば、藤森照信先生の『日本の建築 明治・大正・昭和 3 国家のデ…

たんなるメモ書きだけど、建築史家たちの世代的整理はたとえばこんな感じかなと。

生年だけで一絡げにするのは乱暴だけど、まあ意味がないわけでもないだろうということで、4〜5つの世代グループに分けて、生没年と国をメモってみた。大事な人の漏れや、事実関係の間違いもあると思うのでご注意を。 [第1グループ/19世紀中盤生まれ]オー…

福島原発事故現場20Km圏内を見て

昨日(2015.03.27.Fri.)明治大学中野キャンパスにてアーキエイド総会が開かれ、ゲスト・コメンテーターとして参加させていただいた。塚本由晴・貝島桃代のお二人の進行により12本の活動報告があり、懇親会、二次会と・・・。こうした試みの数々からどのよう…

卒業おめでとう。

lab

研究室からは修士4名、学部生8名が卒業・修了しました(9月卒業をあわせると、博士1、修士5、学部9名)。昨夜(03.26)はお祝いの会でした。いろいろと気を遣わせてしまいましたね。ありがとう。そしておめでとう。 考える自由を忘れず、状況に振り回されず…

2014年度研究室の学生諸君の成果

lab

研究室HPのthesisのページを更新しました。今年も立派でしたねー。俺もがんばろ。 [博士論文] 石榑督和 「闇市の形成と土地所有から見る戦後東京の副都心ターミナル近傍の形成過程に関する研究」(2014年9月修了)博士(工学)取得 [修士論文] 肥後伯子「第…

人の移動は居住世界をどう動かすのか 〜 複合化と葛藤 〜

2015.03.07. Sat. 「人の移動と居住文化」と題する公開研究会に、コメンテーターとして参加した。この研究会は、日本建築学会建築計画委員会の「比較居住文化小委員会」が企画したもの。こういう小委員会があるってこと自体、建築学会って奥深い。 公開研究…

ヒストリー・オブ・・についての個人的な備忘録

ヒストリー・オブ・ジャパン・アーキテクツのシンポジウムでぼくが喋ったこと、どうもうまく伝わっていないなあと反省すること頻りなのですが、大事な部分だけここで補足しておきたいと思います。まず、ぼくとしてはそれなりに日本の戦後建築史の全体をカヴ…

シンポジウム「ヒストリー・オブ・ジャパン・アーキテクツ」

2015.02.21 Sat. 金沢21世紀美術館の10周年記念「ジャパン・アーキテクツ1945-2010」の関連プログラムとして開催されたシンポジウム「ヒストリー・オブ・ジャパン・アーキテクツ」が開かれた。企画・モデーレータ=日埜直彦、スピーカーに長谷川堯、中谷礼仁…

数年間の共同研究の成果、『明治神宮以前・以後』が刊行されました。

2009年より、藤田・青井・畔上・今泉を中心に、たくさんの方々のご参加・ご協力をいただいて進めてきた分野横断型の共同研究の成果が、鹿島出版会より刊行されました(担当は川尻大介さん)。装丁デザインは中野豪雄さん(nakano design office/本書の紹介…

2014年を振り返りつつ、今後の継続的課題なども書き付けてみる。

せっかく家にいるので箱根駅伝でも見ながら書くことにした次第。個人的備忘録。 (1) 『新建築』の月評(2014年1〜12月号掲載分)を担当。同誌を毎号読んでなにごとかを書くという経験は得るものが多かったし、言及した建物の設計者の方々から連絡いただくこ…

謹賀新年2015 本年もよろしくお願いいたします。

暮れ正月に自宅に居るなんて十数年振りだろうか。自宅は駅が出来てまだ十年ほどの新しい郊外住宅地の駅前マンション。住宅地は山を開いた造成地に広がっているが、いわゆる谷戸の集落がすぐ隣にあり(つまりその集落の里山のテッペンみたいなところが宅地化…

ゴシックにおける鉄の使用:建設現場は工匠たちの“研究室”

ゴシック建築に鉄の補強材が、12世紀の計画・建設当初の段階ですでに石造構造体と一体的に用いられたことが、いわゆる放射性炭素年代測定法によって判明しつつあるらしい。 Gothic cathedrals blend iron and stone, CNRS press release, Paris, 17 December…

10月1日開催の新国立競技場シンポの内容が10+1 website にて公開 + 磯崎新氏のコメント、ザハ・ハディドによる批判

2014.10.01に建築会館にて開かれたシンポジウム「新国立競技場の議論から東京を考える」の内容が公開されています。スピーカーは槇文彦(建築家・槇総合計画事務所代表)、内藤廣(建築家・内藤廣建築設計事務所代表、東京大学名誉教授)、浅子佳英(建築家…

『ja』96号:YEAR BOOK 2014

新建築社『ja』の96号(Winter, 2015)はYEAR BOOK 2014。建築の現在をどう切ってみせるか。ビルディングタイプ? ジャンル? サイズ? 今号ではプロジェクトが要した時間の長短という尺度で作品が並べられている(編集長:中村光恵)。ちょっと見にくいけど…

都市史研究の運動性を感じた1日

一昨日(12/12)の日本建築学会都市史小委員会シンポにつづき、都市史学会大会に参加。残念ながら12/13は大学院の中間発表会だったので西川幸治先生の記念講演を拝聴できなかったのだが、14日のシンポでは各分野の研究動向の報告を聞き、ラテンアメリカ都市…

大地/地面/土地の三位相の複合としての「地」

20141212.Fri. 日本建築学会都市史小委員会シンポジウムが行われ、コメンテーターとして参加したが、とても面白かった。早起きして京都へ行った甲斐あり。 日本建築学会主催 建築歴史・意匠委員会 都市史小委員会シンポジウム 「都市と大地」シリーズ1 「都…

こんなときは、匂いをかぎつけなければならない:『磯崎新 interviews』を読んで

磯崎新+日埜直彦『磯崎新 interveiws』(LIXIL出版、2014)を読み終える。献本頂いたものの手に取る時間がないままだったが、最近断続的に読み進め、読了し、記憶が消えないうちにと思い、昨日一気に再度通読した。今後も多方面の勉強を重ね、時々戻ってこ…

都市形態論をいかに教えるか[復刻:2008.05.17, 06.02]

忙しさにかまけて復刻シリーズで失礼します。前に勤めてた大学は建築の専門教育課程のない大学だったのですが、ということは学生さんたちも誰も建築専門家になるわけではなく・・・そういう学生たちに都市の型態について考えてもらう授業について偉そうに書…

日本建築にはなぜこんなにも分類があるんだろう[復刻:2005.03.04]

前任地・人間環境大学時代のブログ(semi@aoao)、大半が消滅したのですが救出できるものもあるので、たまに気が向いたら復刻します。10年近く前の記事で、思考様式が変わってないことには呆れますが、でも面白いこと書いてるなと思いました。 日本建築には…

古建築実習2014:法界寺阿弥陀堂についての覚書

10月6日(月)生田(開始)/白川郷(キャンセル)/美濃(泊) 10月7日(火)美濃(伝健)/永保寺(開山堂・観音堂・方丈)/関宿(伝健)/奈良駅(解散) 10月8日(水)奈良駅(集合)/法隆寺(西院中門・金堂・五重塔・大講堂/東院夢殿)/薬師寺(金…

新国立競技場関連記事データベース

研究室(http://www.meiji-aoilab.com)の学生有志チームが精魂傾けてつくったデータベース新国立競技場関連データベース New National Stadium Project: Related Article Databaseを9月7日より公開しています。その一部を整理したものを、日本建築学会建築…

建築夜学校第一夜:新国立競技場をめぐる議論を終えて(ノート)

一昨日(20141001)、日本建築学会 建築夜学校2014「東京オリンピック2020から東京を考える」の第一夜の企画として開かれた、「新国立競技場の議論から東京を考える」と題するシンポジウムに登壇した。槇文彦さん、内藤廣さん、浅子佳英さん、青井の4名が発…

綾里プロジェクト2014:大船渡市綾里にて昭和三陸津波後の「復興地」の家屋調査

報告遅くなりましたが、2014.08.26〜08.30の5日間(実質的な調査期間は4日間弱といったところ)、岩手県大船渡市綾里の各集落にて大変有意義な調査をしてきました。首都大学東京の饗庭伸先生を代表者とする科研費のプロジェクトで、災害や復興の経験を含む地…

アセテートとは何だったか:編集出版組織体アセテート8/27をもって活動終了。お疲れさまでした。

以前、アセテートサイトに「活動終了のお知らせ」が出ましたが、いま気づいたのですが8/27付けの中谷礼仁さん(同代表)のサイト内の記事にてあらためて同日活動終了の旨が淡々と記されていました。この記事が「この二冊 アセテート版から世界へ」と題されて…